19/12/18 11:16:05.40 k7b7h8iL9.net
2018年1月、北海道札幌市のアパートの1室で、82歳の母親とひきこもる52歳の娘の親子の遺体が発見された。
同年3月5日付の北海道新聞によると、死因は2人とも「低栄養状態による低体温症」で、1月6日、検針に来たガス業者が異変に気づき、アパートの住民が室内に入ったという。2人は、それぞれ飢えと寒さによる衰弱のため、2017年の12月末までに亡くなったと見られている。娘は、長年ひきこもり状態にあったという。
同紙の記事によれば、母親が亡くなったとされる時期は「2017年12月中旬」で、娘は通報することなく母の遺体と同居。後を追うように同年の「年末」に息を引き取った。
冷蔵庫は「空」だったが、室内には「現金9万円が残されていた」という。
親子共倒れから見えてくる支援制度の問題
母親が、このアパートに入居した1990年当時、すでに世帯の収入は「年金だけ」の生活で、「生活保護や福祉サービスは受けていなかった」。娘は、学校を卒業してから就職したものの、「人間関係に悩んで退職し、ひきこもり状態」になったという。いわば、就労経験者という典型的な「中高年ひきこもり」者の背景だ。
「障害者手帳や病院(の診察券)などは、見つかっていない」という。ひきこもる人の多くは、「障害があるわけではない」などと診断を受けたにもかかわらず、その親も「うちの子は障害者ではない」などと否定したり隠したりする傾向がある。こうした障害認定を受けていないために、支援の制度に乗ることができない問題もある。
この事例でいえば、世帯には年金収入があり、高齢の親も一人暮らしではなく「働き盛りの世代の子」と同居もしていた。対応する法律や制度がなく、熱意のある担当者でない限り、「生活上、問題がない」とみなされても不思議ではない。まさに制度の狭間で、家族全体が孤立し、親子共倒れにより死に至ったのかもしれない。
「親子は近所づきあいを避け、周囲に悩みを漏らすこともなかった」
母親と交流のあった女性が、数年前から生活保護を申請するようアドバイスを続けたものの、母親は「他人に頼りたくない」からとかたくなに拒んだ。その結果、母親が先に亡くなり、娘もそのまま、誰かに助けを求めることも、外に出て食料を買うこともなく、亡くなった─。
─なぜ、母娘は周囲に「助けて」と声をあげることができなかったのか?
─なぜ、母娘が最悪の状態で発見されるまで、誰も手を差し伸べることができなかったのか?
「ひきこもり状態」の40~64歳が推計61万人
今、全国でこの札幌の親子と同じように、親子共倒れの悲劇に追い込まれるケースが多発している。
当該家族が置かれた状況や背景はさまざまだが、いずれにせよ、高齢のひきこもり状態の子の生活を、高齢の家族が支えている本質的なメカニズムは変わらない。
周囲から見ると、現状を切り取れば主に経済的観点から生活に問題がないと判断されやすく、支援の対象にはなりにくい。ところが、見落とされがちなのは、将来の予防的な観点だ。今は生活に問題がないように見えても、生活を支えてきた高齢の家族に万一のことがあったとき、たちまち生活は困窮しかねない。
たとえお金が残されていたとしても、本人に生きる希望や意欲がなければ、生きるために動き出そうというエネルギーも湧かなくなる。まさに、緩やかな死へと向かう、ひきこもらされた人たちの気持ちが見て取れる。
こうした現実を裏付けるかのように、2019年3月29日、内閣府が中高年ひきこもり実態調査で、衝撃的な数字を公表した。40歳以上のひきこもり状態の人が全国にどのくらい存在しているのかを推計した、国による初めてのエビデンスである。
内閣府によれば、40~64歳の「ひきこもり中高年者」の推計は約61万3000人にも上る。ひきこもり状態になったキッカケは「退職したこと」が最も多く、雇用環境の問題が要因になっていることがわかる。年齢も、「40歳以上になってから」が約57%と半数以上を占め、全年齢層に大きな偏りなく分布している。つまり、どの年代からでも誰もがひきこもり状態になる可能性があることを示している。
続きはソースで
URLリンク(toyokeizai.net)