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米、対中関税緩和か 大統領選にらみ農業優先
2019年12月14日07時12分
【ワシントン、北京時事】トランプ米政権は１２日、米中貿易協議が農業分野で進展したとして、１５日に予定する新たな対中制裁関税の発動を延期する方向で調整に入った。米メディアが一斉に報じた。米国が発動した既存の関税を一定程度引き下げるのと引き換えに、中国は米農産品の購入を大幅に増やす。制裁関税を緩和すれば、貿易戦争が本格化した昨年夏以降初めてで、局面を打開するきっかけにもなりそうだ。
トランプ大統領が１０月に貿易協議の「第１段階の合意」を表明した後、米中は詰めの交渉を進めてきた。来年の大統領選で再選を狙うトランプ氏は１２日、「大規模な取引成立に非常に近づいている」と成果をアピールし、現時点での合意内容を承認した。報道によると、ライトハイザー米通商代表部（ＵＳＴＲ）代表と中国の崔天凱駐米大使が１３日にも関連文書に署名する。
中国外務省の華春瑩報道局長は１３日の記者会見で「合意は双方にとって利益となる必要がある」と指摘。詳細には触れなかった。
景気が減速する中国は、米国が発動した既存の制裁関税を撤回しない限り合意を受け入れない立場だが、米財界関係者によると、最近になって米国は一部を引き下げると提案。米メディアは中国が来年に５００億ドル（約５兆５０００億円）相当の米農産品を購入する可能性があると伝えた。この目標値は２０１７年の実績の２倍以上とされる。
米国が１５日に発動を予定する制裁関税の対象品目にはスマートフォンやノートパソコンなど消費者向けの製品が多く含まれる。今回の措置が発動されれば、中国からの輸入品ほぼすべてに制裁対象を広げる異常事態となる。大統領選を控えるトランプ氏は発動を取りやめて農業の成果を優先。難航分野である中国の不公正貿易慣行の問題の多くを先送りして譲歩する形となる。