19/11/30 16:12:24 aU7fb1cX0.net
卓越した軍事理論家であったドゴール大統領は、アメリカの「核の傘」を信用しなかった。
彼は、「核の傘」理論を振りかざしてフランスの自主的な核抑止力構築を妨害しようとしたケネディ政権とジョンソン政権を、「米国の利己的な核兵器独占政策を正当化しようとしているだけ」と見なしていた。
しかし、ドゴール大統領が自主的な核抑止力を構築することに熱意を示したのは、彼が単に、「核の傘」というアメリカの覇権主義に都合のよいフィクションに反発したからだけではない。
彼は、「アメリカ政府にフランスの安全保障を任せるならば、フランス人はアメリカの軌道に吸い込まれてしまう」と確信していたのである。
アメリカのマテリアリスト文明を軽蔑していたドゴールにとって、フランスの自主防衛政策とは、「自分たちの価値判断を守る」という哲学的な行為でもあったのである。