19/10/02 20:38:44.10 ToiaHV2a0.net
URLリンク(www.jftc.go.jp)
.1米国法以下ではまず,日本独禁法の制定時から一貫して強い影響力を持ち続けている米国反トラスト法の近時の議論状況を確認する。19)
現在の米国反トラスト法は,経済学との密接な関連において,多くの場合には経済理論に直接的な理由付けを求めながら議論するのが一般的である。
ただしそこでは,本研究の
ように,「並行的排除行為に伴って生ずる競争上の弊害云々」といった問題の立て方はそもそもなされていない。
一方で,本問題に関連する議論は,おおむね次のような文脈で行われている。1⃝排他条件付取引(垂直的行為から生ずる排除の弊害)に対する規制をめぐる議論,
1⃝′参入障壁の有無や新規参入の容易性をめぐる議論,2⃝寡占的協調行動(coordinatedeffect, tacit coordination)から生ずる競争上の弊害をめぐる議論。
以上のような米国反トラスト法の状況を端的に示すのが,次に採り上げる連邦取引員会(以下FTC)審決の妥当性をめぐってFTC委員の間に生じた議論対立である。
すなわち,Waterous Company, Inc./Hale Products, Inc.において,クリントン政権期のFTCは,
結論として,並行的に行われていた排他的供給契約をFTC法5条違反として規制した。20)
しかし,ブッシュ(父)政権以来の委員とクリントン政権に任命された委員の間で先鋭な意見の対立が認められる。
本件で問題になったのは,消防車用ポンプメーカー2社が50年以上にわたって並行的に続けてきた排他的供給契約(一種の排他条件付取引)である。
両社は合わせて全米消防車用ポンプ市場の90%を占めていたとされる。FTCは,本件における競争上の弊害として,
両社が長年排他的供給契約を実施して需要者(消防車メーカー)を配分することにより,2社間の競争が制限され,
かつ他のポンプメーカーの新規参入が著しく妨げられた,と認定した。そして,消防車の需要者(消防局)がポンプを選択する自由を妨げるよう
な制限行為をそれぞれ取りやめ,この点を周知徹底するよう命令した