19/09/18 21:22:35.54 X6ICJY6w9.net
5月の改元で「令和」となった2019年、昭和や平成を彩った名車が次々と姿を消す。三菱自動車の「パジェロ」は8月に国内向け生産を終了。トヨタ自動車はミニバン「エスティマ」の生産を10月に、セダン「マークX」を12月に取りやめる。日産自動車も小型車「キューブ」の生産を12月に終了する。各社で事情は異なるが、先進的な技術・サービスをめぐる投資がかさむ中、各社は車種を絞り込んで効率的な販売戦略を進めようとしている。
【写真でみる】日産自動車の小型車「キューブ」
「三菱自動車を代表する車として世界中で多くの人に愛されてきた。わが社のブランドイメージと技術を確立するのに最大の貢献をした車だと思います」
6月、東京都内で開かれた三菱自の定時株主総会。益子修会長は株主の質問に答える中で、パジェロへの思いを語った。
国内販売終了の背景としては、新たに施行された歩行者保護法への対応がある。構造の一部を変更する必要があり、追加投資が必要になるが、足元で国内販売台数は減少していた。輸出向けは生産を続ける。
生産開始は昭和57年。車高が高く走破性に優れる車であるスポーツ用多目的車(SUV)は当時、レクリエーション・ビークルの頭文字でRVと呼ばれていたが、パジェロはその代表格だった。三菱自は現在、ホームページでパジェロを「オールラウンドSUV」と表現している。
益子氏は総会で、「家庭で使う個人の車を昨年、パジェロに買い替えました。一世を風靡(ふうび)し、三菱自動車を支えてくれたパジェロに感謝の気持ちを込めて、今後も乗っていたいと思ったからです」とも話した。
シリーズでみると、さらに長い歴史を誇るのがマークXだ。前身の「マークII」は43年発売。「クラウン」と「コロナ」の中間に位置する高級車として、当時の“ハイソカー”ブームを牽引(けんいん)した。信頼性が高く、タクシーやパトカーなどにも使われることが多かった。昭和から平成にかけて販売台数で上位に入り続け、ピークの平成2年には約22万台を販売した。
16年、「新世代のスポーツセダン」という位置づけのマークXに生まれ変わる。引き続き人気だったが近年、「SUV人気に押され、セダンタイプの需要が減少した」(業界関係者)ことなどにより、生産を終える。
トヨタは2年に始めたエスティマの生産もやめる。初代は丸みを帯びたデザインで、同社は「天才タマゴ」というキャッチフレーズで販促活動を行った。ミニバンというジャンルを拡大していく先導車の役割を果たし、13年にはミニバンとして初のハイブリッド車も発売された。トヨタによると、エスティマの海外を含む累計販売台数は約240万3000台。
生産終了になった背景には、ミニバンの多様化がある。大型で高級タイプの「アルファード/ヴェルファイア」や主力の「ノア/ヴォクシー」が人気となり、その中間的な位置づけだったエスティマの影は薄くなった。18年以来、全面改良はされていなかった。
9月初旬に、年内の生産終了が明らかにされたのが、日産自動車の小型車「キューブ」だ。高さで室内空間を確保するトールワゴンと呼ばれるデザインで女性ユーザーの需要も取り込み、ピーク時の15年度には約15万台を販売。しかし、足元では約5000台にまで減っていた。
業績が悪化している日産は令和4年度までに車のモデル数を1割以上減らす計画だ。キューブは、来年から導入される内装に関する法規制に現モデルでは対応できない事情を踏まえて終売を決めた。
自動運転や電動化などの先進技術の開発にも巨額の費用がかかることを背景に、各社が車種の絞り込みに傾いている。特にトヨタは「トヨペット」「ネッツ」など4系列の販売店で取り扱う車種を分けていたが、国内需要の減少を受けて来年5月に全店で全車種の併売に踏み切るという事情がある。
日産で初代「フェアレディZ」などのデザインを手がけた自動車評論家の松尾良彦さんは「時代とともに車のニーズは変化していく。昔は車も『ステイタス』としての意味が大きかったが、今は見栄えよりも使いやすさなどが重視されるためセダンや、軽自動車に押されたトールワゴンの小型車の人気が続かなくなっている」と指摘する。(経済本部 高橋寛次)
9/18(水) 7:00
産経新聞
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