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ヨドバシカメラの公式通販は、東京23区全域や横浜、大阪、福岡の一部で「ヨドバシエクストリーム」という配送サービスを提供している。
1品から注文でき、利用料金も配送料金もかからない。なぜこんな大盤振る舞いができるのか。経営コンサルタントの竹内謙礼氏が考察する―。
■「ヨドバシエクストリーム」の存在を思い出した
東京のコワーキングスペースで仕事をしている時のこと。持ってきているはずの赤いボールペンがないことに気がついた。
時刻は午前10時だったが、今日はコワーキングスペースにこもりっきりの予定。夜までに自著のゲラ原稿に赤ペンで校正を入れて、編集者に渡さなくてはいけない。
コンビニで買ってこようとも思ったが、あいにくの高層階。下まで降りる時間もない。仕方なくスタッフに赤ペンを借りようと思ったところ、ふと「ヨドバシエクストリーム」の存在を思い出した。
ヨドバシ・ドット・コムのヨドバシエクストリームを使うと、東京23区にはその日のうちに送料無料で配達してくれる。
千葉県の田舎町に住んでいるので一度も利用したことがなかったが、都内に住む友人は「アマゾンよりもヨドバシエクストリームを利用している」と話していた。
半信半疑でヨドバシ・ドット・コムを見に行くと、サイトに「ご利用料金無料、配送料金も無料」と大きな文字で書かれていた。
しかも、宅配業者を使わず、自社で配達しているらしい。試しに自分がいるコワーキングスペースの住所を打ち込んでみたところ、お目当ての赤いボールペンは本日16時までに配達してくれるようだ。
■「ボールペン1本を届けてもらうのは、さすがに申し訳ない」
編集者にゲラ原稿を渡す時間を逆算すると、16時までに赤いボールペンがあれば十分間に合う。しかし、ボールペン1本だけを届けてもらうのは、さすがに申し訳ない。
とは言いつつも、本当にボールペン1本でも送料無料でその日のうちに届けてくれるのか興味津々でもある。結局、申し訳ない気持ちよりも好奇心のほうが勝ってしまい、ヨドバシエクストリームを使って赤のボールペンを1本注文することにした。
そして午後4時。コワーキングスペース受付の女性スタッフから「お届け物です」と、小さな封筒を渡された。封を開けると赤いボールペンと納品書が1枚。
なんだか申し訳ない気持ちになってくる。できればお礼の一言でも言いたかったが、受付の女性いわく、配達員は荷物を置いてすぐに帰ってしまったとのこと。どんな人がボールペンを届けてくれたのか気になったので、スタッフの女性に尋ねてみた。
「どんな配達員でしたか?」
「普通の人でしたよ」
「どんな格好していましたか?」
「普通の格好ですよ」
怪訝そうな顔をする女性スタッフ。これ以上質問するとコワーキングスペースから追い出されそうだったので、とりあえず、送られてきた赤いボールペンをありがたく使わせてもらって、ゲラ原稿の校正を始めることにした―。
■ヨドバシエクストリームは儲かっているのか
その日、ヨドバシエクストリームのおかげで、無事、ゲラ原稿の校正作業をすることができた。しかし、私の頭の中では「ヨドバシエクストリームは儲かっているのか?」という疑問でいっぱいになっていた。
1本135円の赤いボールペンをネットで受注して、倉庫でピッキングして、わざわざ自社のスタッフに送料無料で配送までさせて、果たして利益が出るのだろうか。
しかも、ヨドバシのポイントもつけてくれているし、返品や交換にも対応するという。アマゾンや楽天のような巨大企業であればまだ理解できるが、一家電量販店がこのビジネスモデルを展開するのは、さすがに無理があるのではないかと思った。
そこで、ヨドバシという会社をいろいろ調べてみることにした。
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