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●サラ金同然の取り立ても…学生支援機構の悪循環
多くの大学生は、キャンパスライフを満喫している間は奨学金のことなど頭にないだろう。その実態が身に染みてわかるのは、卒業して返済が始まるときなのだ。
「社会人になったとたんに奨学金の返済が始まり、その額は多い人で数百万円にもなります。
万が一返済が滞ると、滞納1~3カ月ほどで本人や保証人へ電話による督促や通知がなされたのち、
債権回収専門会社による取り立てや個人情報の信用情報機関への登録といった措置が取られることもあります。
“奨学金”とうたいながら、取り立ての際にやっていることは消費者金融業者とまったく同じなのです」(同)
「借りたお金は返すのが当たり前」「それが嫌なら、借りる時点でもっと慎重になるべき」という声もある。
そうは言っても、大学に進学できるかどうかで手一杯の高校生に「卒業後に返済するお金のことまで考えろ」というのは酷ではないだろうか。
将来、自分がどんな仕事に就いて、どれだけの額の給料をもらえるのかもわからない人が多いのだから。
「もちろん、教員が知識を持って生徒に伝えることも重要です。しかし本来、それは教員の仕事ではありません。
日本学生支援機構の職員が各学校で説明するべきですが、機構自体が人員不足で手が回らない状況なのです。
対処しようにもする人がいない。完全な悪循環ができあがっています」(同)
このように、奨学金に関する問題を挙げれば枚挙に暇がない。一方で、解決に向けた動きも、少しずつだが進んでいるという。
「私が『返済する必要のない給付金制度を導入してほしい』とメディアを通じて各機関に呼びかけたのが、2013年のことでした。
そのときの反応は非常に寒々しいもので、あらゆる方面から『絶対に無理だ』と言われたものです。
しかし、それから約5年で給付型奨学金制度は実現しました」(同)
政府が奨学金問題の解決に乗り出しているのは、「個人の問題ではない」という認識が広がっているからにほかならない。
奨学金制度は、構造自体がすでに破綻している。つまりはシステムエラーなのだ。
そして、このエラーは日本の経済にも大きく影響している。
「返済によって生活が困窮している若者は非常に多い。奨学金の返済が重荷になって、結婚や出産を躊躇する若者もたくさんいます。
単純に考えれば、その重荷を外してあげるだけで、深刻化している未婚化・少子化問題の解消が進みます。
また、若者の経済活動は今より活発化するはずです。奨学金問題というのは、そのまま日本社会と日本経済の未来にもつながる問題なのです」(同)
ニューヨークで日本の奨学金制度に関する講演を行った際、大内氏はアメリカの学生から「It is loan」と言われたという。
実際、日本の奨学金制度は、事実上の「ローン」を「スカラシップ」と言い換えているにすぎない
若者の生活ひいては経済活動のためにも、今の日本にとって奨学金問題の解決は喫緊の課題なのだ