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北海道新聞 9/23(日) 10:11配信
■「国内で使用例がない」で使用中止
胆振東部地震発生後、東京都から胆振管内厚真町など5町に提供された乳児用の液体ミルク1050本のほぼ全量が、使われずに保管されていることが22日、北海道新聞の調べで分かった。
道から「国内で使用例がない」などとする連絡を受けた各町が使用を止めた。しかし、実際には2016年の熊本地震で使われている。
開栓してすぐ飲める液体ミルクは利便性が高いが、住民に周知されることなく備蓄に回った格好だ。(酒谷信子)
■「取り扱いが難しい」とも連絡
東京都によると、道の要請を受け、災害備蓄用のフィンランド製液体ミルクに1本ずつ日本語の説明文を添え、9日に発送した。
道は11日に胆振管内厚真、安平、むかわ、日高管内日高、平取の各町に配った。
道によると、道災害対策本部などの職員が11日ごろ、胆振、日高両総合振興局や道立保健所に対し、
「液体ミルクは国内で使用例がない」「取り扱いが難しい」として使用を控えるよう各町の担当者や保健師に知らせることを求めた。
■町「とても住民に提供できる物ではない」
各町とも住民に周知せずに保管。ただ、厚真町は1本だけ「『(粉ミルクを溶く)水を確保できない』という親に渡した」(町民福祉課)。
ある町の担当者は「(道の連絡で)とても住民に提供できる物ではないと思った」と話す。
道保健福祉部地域医療課は「(都からの液体ミルクの提供後)相談した医師から『国内での使用例はない』と聞き、各町に伝えた。
液体ミルクは『水すら使えず、粉ミルクを作れない時のために保管してほしい』との趣旨で知らせた」としている。
■「災害時は、粉ミルクよりも安全」と専門家
熊本県によると、熊本地震の際、日本フィンランド友好議員連盟を通じて約5千本の液体ミルクが提供された。
一般社団法人乳児用液体ミルク研究会(横浜市)の末永恵理代表は「災害時は、製造段階で滅菌されている液体ミルクの方が粉ミルクよりも安全。
(道の対応は)情報の混乱があったと思うが残念だ。災害時の液体ミルクの活用法や情報提供について国がガイドラインを定める必要がある」と指摘する。
■乳児用液体ミルク
70度以上の湯で溶かして人肌に冷まして与える粉ミルクに対し、液体ミルクは開封してすぐに飲ませることができ、半年から1年程度の保存も可能で、災害時や外出時などに役立つとされる。
ドイツや韓国など各国で製造され、国内では東日本大震災や熊本地震の際、輸入品が被災地に提供された。
厚生労働省は今年8月、原材料や添加物の使用基準、滅菌方法など、液体ミルクの規格基準を定めて国内での製造・販売を解禁。国内産の流通は2019年以降になる見込み。
東京都から厚真町に送られた乳児用液体ミルク。1本が使われただけで残りは保管されていた=15日
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