18/08/14 20:46:48.35 LTSyWPtm0.net
>>749
鷲にさらわれた子供
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昔、近江の国(今の滋賀県)に、夫を亡くした女が まだ二つになったばかりの息子と暮らしていました。
母親は、毎日子供をおぶって、近所の畑の手伝いなどをしながら 子供と二人、それでも なんとか暮らせていました。
母親は たいそう信心深く、日々 如意輪観音菩薩さまにおすがりし、朝に晩にと 祈りを絶やすことがありませんでした。
そして、その日も いつものように 小さな息子を背負って、近所の畑に出向きましたが、今日は 桑の葉を摘むように と言われたので、
小さな息子が かぶれたりするといけないと思い、ちかくの切り株の根方のくぼみに
子供を寝かしつけて、なくなった主人と一緒に求めた 如意輪観音菩薩さまのご像を 子供の着物の懐に入れると、手を合わせて言いました。
「観音様、私は これから 桑の葉を摘みに行って来ます。すぐに
戻ってきますので、その間、どうか この子をお願いいたします。守ってやってくださいまし。」
そして 母親は 急いで桑畑に向かいました。
ところが、母親が立ち去ると すぐに、それまで どこにいたのか、
突然 空から 大きな金色の鷲が舞い降りてきて、ばっさばっさと翼を羽ばたかせたので、子供は 目を覚まし、びっくりして 泣き出しました。
子供の泣き声に驚いた母親が振り向くと、あろうことか 自分の息子を
大きな金色の鷲が むんずとつかんで 今にも 空に羽ばたこうというところでした。
「待って!まって!ぼうや!お願い!坊を連れて行かないでー!」
母親は 声を限りに叫びながら 大急ぎで 走りましたが、大きな鷲は
その力強い翼をいっぱいに広げて風に乗り、みるみるうちに 山の向こうへ 見えなくなってしまいました。