18/08/14 20:44:38.38 LTSyWPtm0.net
>>749
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『鷹にさらわれた児』
- 山梨県西八代郡 -
再話 六渡 邦昭
昔、駿河(するが)の国、今の静岡県(しずおかけん)の※安倍(あべ)というところに、亭主(ていしゅ)に死なれた母親と二才の赤ん坊がおったそうな。
母親は、毎日赤ん坊をおぶってはよそのお茶摘(つ)みを手伝って、やっと暮らしておったと。
ある日、眠った赤ん坊を畑の畔(あぜ)に寝かせて、茶を摘みながら、段々(だんだん)向こうへ行ったと。
そしたら、一羽の鷹(たか)が飛んで来て、赤ん坊をつかんで、わっさわっさと飛び去(さ)って行った。
あっという間の出来事だったと。
「おおい、今、大っきい鳥が何かつかんでいったぞぉ」
という声に、はっとした母親があわてて駆(か)けつけたら、寝ているばずの赤ん坊がおらん。
「あわわわぁ。赤児(あかご)が、おらの赤児があ」
と、狂(くる)ったように泣き叫(さけ)んだと。