18/07/23 08:22:12.00 CAP_USER9.net
◆介護サービス業倒産が史上最多!「成長産業」のはずがなぜ?
日本人の寿命が伸び、高齢者がどんどん増えている。
それに伴い、介護サービス業の需要が高まるなか、事業者の倒産がなぜか史上最多を記録する勢いだという。
かつては「成長産業」といわれた介護サービス業界に何が起こっているのか。
この不思議な現象を追ってみると―。
■需要最多の「訪問介護」「デイサービス」が深刻
東京商工リサーチは2018年7月9日、「老人福祉・介護事業所(介護サービス事業)の倒産状況」をまとめた最新リポートを公表した。
今年1~6月の全国の倒産は45件。
前年同期の40件を上回り、上半期としてはこれまでで最も多くなった。
今年4月に介護報酬が0.54%引き上げられたものの、前回(2015年)の介護報酬改定で一気に2.27%も引き下げられたことが響いたようだ。
年間では過去最多を記録した昨年(111件)を超える最悪のペースで推移している。
倒産した事業所の規模をみると、従業員が5人未満のところが約6割の57.7%(26件)を占めている。
設立から5年未満が約3割の28.8%(13件)となっており、小規模で経験の浅いところが最も多い。
東京商工リサーチでは「新規参入しても営業基盤が固まらないうちに、資金が続かなくなったり、社内体制の整備が間に合わなかったりして、淘汰に追い込まれる実態が浮かび上がる」とみている。
業種別では「訪問介護」と「通所・短期入所(デイサービス)」がそれぞれ18件と最も多く、この2つで8割を占める。
次に多いのが「有料老人ホーム」(7件)だ。
訪問介護とデイサービスに倒産が増えている実態は、かなり深刻という。
要介護者で老人ホームに入居している人は、わずか15%程度にすぎない。
残り85%の要介護者は在宅介護を受けており、これら訪問介護やデイサービスに頼らざるを得ないからだ。
では、いったいなぜ介護サービス事業に倒産が増えているのか―。
高齢者の増加で「成長産業」と喧伝されたため、新規参入が相次ぎ、同業他社との競争が激化。
それにより経営力、資金力に劣る事業者の淘汰が加速していることが大きい。
また、介護職員の人手不足が深刻になり、離職を防ぐための人件費上昇が経営を圧迫している。
■介護職の有効求人倍率は5倍を突破
皮肉なことに、介護職場は仕事内容がキツイこともあり、「景気が悪い時は採用が順調だが、好景気になると他業種へ流出して人手不足になる」といわれ、景気と逆行する傾向が強い。
景気が回復傾向の現在、都市部では介護職の有効求人倍率は5倍を突破した。介護職の希望者1人に対し、5社以上の事業所が殺到するありさまで、人材の採用コストが跳ね上がっている状況だ。
とりわけ小規模事業者は業績低迷に、資金的な制約も抱えており、人手の確保が難しくなっている。
そのため、東京商工リサーチは「今年4月の介護報酬の0.54%のプラス改定は打開策とはなっていない。
政府は社会保障費の抑制に向け、介護サービス業の経営安定化を図るため、合併などで事業規模の拡大を促そうとしている。
そのために、許認可条件に『財産基準』を導入する考えだ。
今後、経営基盤の脆弱な事業所が『ふるい』にかけられることは避けられない」と指摘している。
今後、もっと倒産が増えるというわけだ。
J-CASTニュース 2018/7/21 14:55
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