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【ロシアスパイ】気付かぬうちにコントロール…ロシアスパイが陸自幹部を落とした伝統的な手口とは
■衝撃事件の核心 2015.12
言葉巧みに近づいたスパイの目的は何だったのか。情報機関員だったロシア大使館の元駐在武官に陸上自衛隊の内部資料を渡したとして、元陸将や機関員らが自衛隊法違反の教唆容疑などで書類送検された事件。
機関員は、元陸将との間に“師弟関係”とも言える強固な信頼関係を築き、資料を手にしたとされる。経緯が明らかになる中、過去にロシアが関与したとされるスパイ事件と同様、巧みな諜報術が浮かび上がった。
■気付かぬうちに「協力者」に…その巧みな手口は
「これまで教えていただいたことについて、まとめたものはありませんか」。平成25年、東京都内。初老の日本人男性と向かい合うロシア人男性は、柔和な表情で持ちかけたとされる。
日本人男性は、陸上自衛隊で東部方面総監など要職を歴任した泉一成・元陸将(64)。語り合っていた相手は、ロシア大使館に勤務するセルゲイ・コワリョフ駐在武官(50)=当時=だった。
自衛隊の戦術や部隊運用などが記された「教範」と呼ばれる内部文書が流出した今回の事件。ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)
所属の諜報機関員とされるコワリョフ元武官が、泉元陸将に譲渡を決意させたのも、さりげない会食の最中でのやりとりからだった。
■「『コントロール』されていることに気付かなかったのだろう」。捜査関係者は泉元陸将の心情を推察する。接触は1年数カ月間に及んだが、「少しずつ、そして確実に協力者にされていった」(捜査関係者)。
目的を秘して近づき、信頼を深め、籠絡して「機密」を得る。漏洩(ろうえい)が明らかになると、防衛関係者からは「緊張感に欠ける。信じられない」と怒りの声が上がった。だが、事件の経緯には典型的ながら巧みなスパイの手口が見て取れる。
■教えを請い、酒食を重ね…固まっていく信頼関係
“発端”は6年前とされる。24年2月、ロシア大使館で開かれたレセプション。21年に退官した泉元陸将もOBとして参加していた。
「退官されたのですね。お元気でしたか」。親しげに話しかけたのがコワリョフ元武官だった。泉元陸将とは、現職当時から面識があったとされる。
再会をきっかけに、飲食店で会合を重ねる中で、元武官は熱心に質問した。その姿勢は師に教えを請う弟子のようだったという。元武官が関心を示したのは部隊の運用法。泉元陸将が専門とする分野だった。
そして25年5月、帰国が迫った元武官は切り出す。「マニュアルのようなものはありませんか」。“本性”の一端を見せたとも言える瞬間だが、泉元陸将は迷いなく、求めに応じた。
かつて部下だった現役陸将らに教範の入手を依頼。4冊を調達し、間もなく、千代田区内のホテルで最新の1冊を手渡した。泉元陸将はこの際、自分が愛用する電化製品の同型を記念品としてプレゼントした。2人の“師弟関係”が証明されたかのようだった。
■「研究熱心だったので渡した」。泉元陸将は、後の警視庁公安部の事情聴取に経緯をこう明かしている