17/11/22 15:45:35.57 CAP_USER9.net
>>1の続き
こんな罵倒に、男性技術支援職員は、ドメスティックバイオレンス(DV)を受けた女性のように指の震えが止まらず、身体に引きつった様子が残るなど、典型的な心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状を発症しているという。
このため、職員組合は、大学教授から引き離すことを提案した。職員組合副執行委員長の仁科辰夫教授は「被害者保護を最優先に考えた」と、当時の措置が緊急避難だったことを明かす。
一方、50歳前後の男性職員のケースでは、同大のハラスメント窓口にした相談が大学上層部には伝わらず、逆に大学側から雇い止めを言い渡されたという。
女性職員にハサミ投げつけたり、退職による研究開発の遅れを寄付で強要する問題もあったという。
職員組合は、組合が把握しているだけで10人前後の職員が退職したとしているが、センター関係者は「有期雇用の職員もあり、企業との研究の終了があれば退職となる場合もある。一概に(パワハラで)退職せざるを得ない状況にあったとはいえない」と説明している。
こうした現状に職員組合の品川敦紀委員長は「机に残した書き置き画像や、『偏差値40』などの暴言は名誉毀損(きそん)。職員が学内のハラスメント委員会に訴えても、委員会の構成メンバーが大学内の上司、部下の関係にあるため、ハラスメントの訴えをまともに取り扱わない大学の体質にこそ問題がある」と大学側に組織の改善を求めている。
問題の大学教授は?
大学関係者などによると、問題の大学教授は、山口大学卒業後、宇部興産に入社。同社で、リチウムイオン電池の原料として使われる「機能性有機電解質分野」の事業に関わり、後発のスタートながら「電解液といえば、宇部興産」といわれるほどにした人物として知られるという。
山形大は、同分野で実績のあるこの大学教授を「センター長」として迎え入れ、「山形大として存分に活動できるようサポートし、世界トップの研究開発拠点にしたい」(小山学長)という入れ込みだった。
このためか、職員組合が5月に提出した質問書に対しても、大学側は「個人情報保護の観点から個別の事案については答えられない」「パワハラの有無は確認できていない」と回答。小山学長も11月5日の定例会見で、「パワハラがあれば処分している。処分はしておらずパワハラは把握していない」としていた。
だが、今回の職員組合の写真公開で、大学側は14日付でようやくキャンパス・ハラスメント特別対策委員会を設置し、「事実のあぶり出しをしていく」(小山学長)ことになった。
相次ぐ事件
山形大では、平成27年11月に同大工学部の4年の男子学生が、米沢市内の公園で首をつって自殺。遺族は、学生の教官である男性助教(停職1カ月)による「アカデミック・ハラスメントが原因にあった」として、大学と助教に損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こしている。
こうしたアカハラについても、小山学長は「裁判中のためコメントは避ける」の一点張りで、学生を悼む声すらなかった。
そんな中、今年10月には、山形市小白川町の本部キャンパスで男子学生2人が相次いで飛び降り自殺した。
小山学長は「学生がどういう状況で亡くなったかは、本当の原因はわからない。しかし、そうした環境をつくったのは大学に責任がある」と大学側の責任に言及し、総合対策本部を同24日に設置した。
飛び降りを防止するため校舎の3階以上の窓サッシは開閉を制限したり、学生専用のホームページには「悩みがあれば、1人で抱え込まず、相談窓口で話をしてください」とする学長メッセージを掲載。留学生や大学院生も含め、全8816人の在学生を対象に問診も開始した。
平成16年春の国立大学の独立行政法人化以降、全国の国立大では学長の権限が増し、大学改革の成果を上げることばかりに目が行ってしまっているのではないだろうか。研究機関であると同時に、将来性ある学生を育てていく教育機関本来のありようを再考していく必要があるように思う。
(山形支局長 柏崎幸三)
山形大 昭和24年、山形高等学校、山形師範学校、米沢工業専門学校、県立農林専門学校などを母体に設立。人文、地域教育文化、理、医、工、農学部の6学部と7研究科(大学院)がある。学生数は学部7546人、大学院1282人。教員数913人、医療・技術・事務職員1345人。大学本部は山形市・小白川キャンパス(人文、地域教育文化、理学部)。ほかに同・飯田キャンパス(医学部、付属病院)、米沢キャンパス(工学部)、鶴岡キャンパス(農学部)など。