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経済のグローバル化の進展や、デジタル化(digitalization)による新たな産
業革命の時代を迎え、日本の産業構造は我々の想像を超えるスピードで変化し
始めている。歴史的に見ると、これまで人間の「労働」は、進歩する技術が人
間の能力を代替・補完することによって生産性を向上し、進化してきた。18 世
紀の産業革命により「肉体労働(マッスル)」が機械に代替され、「知的労働(ブ
レイン)」へとシフトし、現在はその「ブレイン」が人工知能(AI)に取って
代わられる時代となっている。「知識(ナレッジ)」の量を誇るだけで、「価値(バ
リュー)」を生み出さない労働は、やがて AI に代替される可能性が高い。
長期的には、AI も人間並みの高度な価値判断や意思決定ができるという領域
に達するかもしれない。しかし、それにはまだ時間を要することであろうから、
人間の労働は、高度な価値判断や意思決定、創造性の発揮など、機械には代替
されにくい価値の創造にかかわるものへとさらにシフトしていくだろう。
これに伴い、「労働市場」の姿や人々の「働き方」にも大変革が起こることが
予想されており、すでにその変化は顕在化している。例えば、先端技術人財3を
はじめとする高度プロフェッショナル人財のグローバルな獲得競争の激化、就
業者数が多い事務職・ホワイトカラー業務のコンピュータによる代替等である。
また、企業と働き手の関係においても、「リモート・ワーク」を活用した地方や
海外における就業等、場所や時間を選ばない働き方や、「アライアンス」といっ
た新しい働き方の世界的な拡大等により、「企業に雇用され、与えられた業務に
従事する」ことが常識でなくなり、企業の人財戦略や、個人の職業観・労働観5も
大きく変化し始めている。
一方、戦前の「工場法」をベースにつくられた日本の労働法は、「所定の場所」
「所定の時間」に「労働時間と成果が比例する業務」に従事することを前提と
しており、こうした新しい動きに対応していない。また、企業においても「正
社員」を中心としたいわゆる日本型の雇用・労働慣行が依然として根強く残っ
ている。しかし、従来の労働法制・慣行の下での一律的な働き方は、日本企業
の競争力強化に繋がっておらず、さらには、デジタル化の進展により新たなビ
ッグチャンスが生じる時代において、逆に世界の中で競争力を失うことにつな
がりかねない。