16/07/21 18:56:27.45 BsBIzFKz0.net
この手法を防ぐため、先進諸国では「移転価格税制」という制度をとり入れている。
これは、海外に子会社を持つ企業が、「不当な取引をして、税金の安い国にグループの利益を移転した場合は、妥当な取引額に訂正して、
税金の計算をしなおす」、つまり、
海外に展開している会社は、海外の関連会社と適正な価格で取引をしなければならないというもの。
しかし、何をもって適正な価格とするかは、非常に難しい判断を要すため、明らかなもの以外は漏れてしまい、不完全な税制だ。
租税回避による損害が特に大きいのはアメリカだとされ、法人税収10兆円以上をタックスヘイブンによって取り損ねているという試算もある。
他にも、世界中の国々がタックスヘイブンの被害を受けている。
現在、世界の銀行資産の半分以上、多国籍企業の海外投資の3分の1がタックスヘイブンを経由していると言われている。
そこで、先進諸国間で協力してタックスヘイブン対策を行う話し合いも進んでいる。そんな矢先に出てきたのが、パナマ文書だ。
日本政府もタックスヘイブンの「被害」は蒙こうむっており、ケイマン諸島だけで、60兆円以上の日本の金が入り込んでいる。
これに対する税務当局の対応は後手に回っていると言わざるを得ない。
このままでは、日本の税収はタックスヘイブンに持っていかれ、
タックスヘイブンを使えないような中間層以下に、税負担のしわ寄せがいくことになる。
実際、昨今の日本では、
富裕層、大企業の税金は大幅に下げられる一方で、
消費税の増税など、庶民をターゲットにした増税が続いている。
タックスヘイブンは、日本の格差社会の要因の一つにもなっている。
それは世界規模で生じていることもある。
今こそ、国税庁をはじめ各国の税務当局がタックスヘイブンに対策を講じなければ、日本や世界の未来は暗澹あんたんたるものになっていく。