16/06/27 06:54:45.79
>>1より
こうした国内事情の改善も手伝い、かつて違憲を主張した多くの左派系政治家・知識人・ジャーナリストが、
今では「自衛隊は合憲」だと、自らを説き伏せた。もっとも、憲法改正を阻止する一時的封印=擬態だとしたら、
それはそれで恐ろしい。
■キナ臭いアジア情勢を無視する日本国憲法
確かに、日本国憲法第9条に《戦争放棄》や《戦力の不保持》を認める。憲法前文も《平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した》と唱える。が、自衛目的の攻撃力保有にまで反発する拡大解釈された《戦争放棄》や
《戦力の不保持》こそが、日本周辺の敵性軍事独裁国家の歓迎するところ。スキあらば攻めてこよう。
日本国憲法は、キナ臭いアジアはじめ国際の情勢をおよそ無視している。
西側民主国家で目指す平和主義とは、自国の軍事力強化や同盟国との集団的自衛権行使などの組み合わせが
生み出す抑止力に担保される。米国やフランス、英国に至っては、そこに核抑止まで加わる。
■軍事同盟は「血の同盟」
参院選公示前、日本記者クラブの党首討論会で志位委員長は、集団的自衛権を限定的に容認する「安全保障関連法に
よって(日米同盟は)『血の同盟』になったのではないか」と、法案成立を主導した安倍晋三首相(自民党総裁)を批判したが、
集団的自衛権の本質を理解しているとお見受けした。
志位委員長が、安保関連法への「レッテル貼り」をしたか否かは承知せぬが、仰せの通り「軍事同盟」とは「血を流す覚悟」を
締結の最低条件とする。日米同盟も、わが国が直面する危機の規模・性質次第で『血の同盟』と化さねば力を発揮できない。
志位委員長はおそらく、思想的お立場上、《デカップリング(離間)論》を学習してもいるのだろう。
1970年代後半、ソ連は核弾頭搭載型中距離弾道ミサイルSS-20を欧州に照準を合わせて配備し、
「欧州は狙うが、米国はあえて狙わぬ」体制を構築した。
「欧州に限定したソ連の核攻撃に対し、米国は自らが核攻撃されるリスクを冒してソ連に核反撃の威嚇を行わないのでは…」と、
拡大抑止分野で不安・疑心を抱かせ、米欧離間(デカップリング)を仕組んだ。結末は、欧州諸国への安心・安全供与戦略を
選択した米国が、核弾頭搭載型準中距離弾道ミサイル・パーシングIIと核搭載型巡航ミサイル・トマホークを在欧配備し、
ソ連の戦域核との相殺で対抗した。
欧州・西側諸国の「血を流す覚悟」を見極めた上で、米国は対欧州支援を決断したのであった。
まともな国家は、外国を助ける目的だけに、自国の若者を犠牲にはしない。逆説的には、日本が日本国益にも多大な
被害をもたらす危機に際し、米国への軍事支援を控えれば、その分、米軍将兵の「流血」は増え、日米同盟崩壊の序曲となる。
■安全保障上、性善説や楽観主義は「取扱注意」対象
ひるがえって、民進党の岡田克也代表は《デカップリング論》を知ってか知らずか、志位委員長が堅持するがごとき思想的
支柱を持ち合わせていない、ようだ。民進党の目指す着地点に関し「安保法はできる前の状態に戻すことで、日米同盟が
『おかしくなる』という話は成り立たない」と断言した。
安保関連法が施行され、「まともな国」として欧米や豪州といった民主国家でようやく評価されたわが国が「異形の商人国家」
に逆戻りすれば、米国の失望と怒りのエネルギーは、知日派共和党政権時であっても日米同盟を焼き切る衝動に駆られるはず。
まして、米国の対同盟国姿勢に激変の兆しが見える。 >>3へ