16/05/16 22:41:43.06 Ginp+S/M0.net
>>673
こう書くと、必ず「円高にもメリットがある」という反論がある。もちろん円高は、輸入業者、海外資産の
購入や海外旅行にとってはメリットがある。しかし、輸出産業は裾野が広く経済に大きな影響を与える
エクセレント・カンパニーが多い。このため、円高のデメリットはメリットを上回り、円高によってGDPは減少
するのだ。
これはどこの国でも見られる現象だ。そのため、自国通貨を安くすることを近隣窮乏化という。為替を
安くすることは他国から非難されることはあっても、自国経済にとってはプラスだ。
なお、最近の研究では、自国通貨を安くすることは必ずしも他国経済を犠牲にするわけでもないという
こともわかってきている。
こうしたマクロ経済ではなく、ミクロ面でも円高のデメリットが出ている。帝国データバンクの調査によると、
円高に関連した企業倒産は7月に過去最多の17社となり、1月からの累計は68社と前年同期の2・6倍。
円高関連倒産は2008年の14件から年々増加し、昨年は85件となり、リーマン・ショック以降の窮状が
うかがえる。
今コラムで何度も紹介しているが、円高を直すには、他国より金融緩和すればいい。他国通貨より相対
的に円が増えれば円の相対価値は低くなり円安になる。韓国ウォンは対ドルでリーマン・ショック前から2割
ほど安くなっている。一方、円は対ドルで4割ほど高くなっている。これは日銀の金融政策の失敗だ。
2月に日銀は事実上のインフレ目標を導入、金融緩和によって一時、円高に歯止めがかかった。しかし、
6月の消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)が2カ月連続のマイナスとなっているのに日銀は
動かなかった。1%の事実上のインフレ目標といっても、空手形だったことが明らかだ。
5年前の1ドル=120円、せめて100円くらいの為替レートにすれば、国際市場で活動する日本企業は
復活できる。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)