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黒田総裁:マネタリーベース重視修正を示唆、直ちに物価上がらず - Bloomberg
2016/02/23 16:41
衆院財務金融委員会で黒田総裁は23日、「マネタリーベースの動きと期待インフレ率は相関関係があるという研究もあるし、そうでもないという研究もある」と指摘。
「マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではなくて、
全体としての量的・質的緩和の下で需給ギャップも縮み、予想物価上昇率も上がっていく中で物価が上昇していくことを狙ったものだ」と述べた。
こうした発言は同政策を導入した際に示した楽観的な発言とは対照的だ。
総裁は導入直後に行った講演で、「日銀が経済全体に供給する通貨の総量であるマネタリーベースが、私どもの積極的な金融緩和姿勢を対外的に分かりやすく伝える上で最も適切」と述べた上で、
「物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する」と述べた。
みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは黒田総裁について
「物価を押し上げるためにマイナス金利政策を導入しただけに、マネタリーベースを拡大しただけで物価が上がるわけではないと認めざるを得ない」と述べた。
最終的な責任の取り方は辞任
日銀が先月導入したマイナス金利の影響で、長期金利はマイナスの領域に突入しており、岩田副総裁が批判したかつての量的緩和政策の下での短期国債の金利と同水準で推移している。
玉木氏はさらに、就任前の岩田副総裁の論文を引用し、「新日銀法施行後、物価上昇率が2%以下のプラスの領域にあった、いわば合格点が上げられる月は13年6カ月中、16%しかない。
そういう責任者は責任を取って辞任するはずだが、日銀総裁は誰一人責任を取っていない」と書いているが、自身の責任はどう取るのかと質問した。
岩田副総裁は「目標が達成できない時はまず果たすべきは説明責任で、仮に説明責任が果たせない場合、最終的な責任の取り方は辞職というのはその通りだ」と述べた上で、
生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)がこのところゼロ%程度で推移していることについて、「原油価格の歴史的な下落によるものが大きい」と指摘。
エネルギーを除けば「物価の基調はきちっと上昇している」と述べた。
黒田総裁は13年4月4日、「2年程度の期間を念頭に置いて2%の物価安定目標を実現する」と表明。それを裏打ちする手段として、マネタリーベースと長期国債・指数連動型上場投資信託(ETF)の保有額を2年で2倍にすると述べた。
黒田総裁は同日の会見で、2年で2倍にする根拠について問われ、「GDPギャップがどの程度縮小していく、あるいはポジティブになる必要があるかとか、
物価上昇期待がどの程度上昇していく必要があるかといったことなどは、いろいろな学者が分析し、あるいはモデルでの計算等をしているようだ」と指摘。
日銀が金融調節手段の目標としているマネタリーベースは12年末には138兆円だったが、昨年末には356兆円と2.6倍に膨らんでいる。
しかし、昨年12月のコアCPIは前年比0.1%と、2%の物価目標には遠く及ばない水準にある。
日銀は物価目標である2%達成時期について、昨年4月に「2015年度を中心とする期間」から「16年度前半」に、
昨年10月には「16年度後半」に、マイナス金利を導入した先月29日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、さらに「17年度前半」に先送りしている。
達成期限の後ずれはこの1年に限っても3回目となる。
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)