16/02/23 14:22:35.86 jML5dbnG0.net
山形大人文学部の戸室健作准教授は、全国の子育て世帯の貧困率が過去20年間で倍増し13.8%に達している
との研究結果をまとめた。研究結果では、子育て世帯に限らない全世帯での貧困率も20年間で18.3%と
倍増したことが判明。拡大しつつある「貧困」の背景と、取りうる対策について、戸室准教授に聞いた。
、■子どもの貧困率は全国的に増加し、地域間格差は縮小傾向
戸室准教授の論文によると、全国の子育て世帯の貧困率を示す「子供の貧困率」は1992年に5.4%だったが、
2012年には13.8%と、この20年で2倍以上に拡大していた。子育て世帯に限らない全国の貧困率も、
1992年の9.2%から、2012年には18.3%と倍増していた。
2012年の「子供の貧困率」を都道府県別で比較すると、沖縄が最も高く37.5%。しかし地域間の格差は
年々縮まっており、貧困率上位10位の県と下位10位の県を比較すると、1992年の5.37倍から、2012年には
2.35倍と縮小している。戸室准教授は「貧困が改善したのではなく、むしろ貧困が地方特有の問題ではなくなり、
全国一般の問題に拡大してきているということ」と分析する。
■全世帯の18%、子育て世帯の14%が「生活保護基準以下」
政府は一般的に「貧困率」を算出するとき、国民の所得を高い方から低い方へと並べ、
その「中央値の半分未満の所得層」を「貧困」と呼ぶ「相対的貧困率」を用いている。一方で今回戸室准教授は、
「生活保護の収入以下で暮らしている世帯」を「貧困層」と考え、貧困率を算出した。つまりこの調査結果は、
「日本では全世帯の18.3%、子育て世帯の13.8%が生活保護基準以下の収入で暮らしている」と言い換えることができる。
戸室准教授は「生活保護は国公認の貧困の救済基準。生活保護基準を使うことで、国との救済義務対象となる
貧困層が明確に分かり、生活保護が国の救済措置として機能しているかどうかが可視化できる」と説明する。
論文では、生活保護基準以下の収入で暮らす全世帯のうち15.5%しか生活保護を受給していないという結果を
明らかにしている。
生活保護基準以下の収入しかない世帯の多くが生活保護を受給していない理由については、
生活保護は手元に7万円程度の現金や車などの資産を持っていると受給できない場合があることや、
生活保護を申請させないことで財政負担を避けようとする自治体の「水際作戦」の影響が考えられるという。
■子どもの貧困の原因は「子育て世代の非正規労働者増加」
なぜ、日本はこんなに貧しくなったのか?
戸室准教授はその根本的な原因として、日本全体の労働環境の悪化に目を向ける。
「生きていく上での基本は働いて賃金を得ることですが、現在労働者の約4割が非正規労働者です。
子育て世帯は就労世帯でもあるため、賃金の低下が子どもの貧困に直接関係します」。
つまり、「子どもの貧困」の増加は、子育て世代での非正規労働者の割合が増えたことが原因だと指摘する。
戸室准教授は、子供の貧困をこのまま放置すれば「地域経済が悪化し、負のスパイラルに陥る」と警鐘を鳴らす。
「(子供の貧困の原因となる親世代の)低賃金の非正規労働者が多く存在すれば、待遇のいい正社員の賃金も
ワーキングプアにひきずられて低下します。企業は、同じ仕事をしてくれるのなら、賃金2分の1や3分の1で済む
非正社員を選ぶからです」
その結果、地域経済に何が起きるか。「今いる正社員に対してサービス残業を強いたり、賃金カット、
非正社員に置き換えるなど労働条件が悪化します。すると地域がワーキングプアだらけになり、賃金低下で
消費意欲も低下し、物が売れなくなり、ますます人件費がカットされ、さらに消費が低下し・・・
といった悪循環でどんどん地域経済全体が沈下していく」。戸室准教授は、子どもの貧困の背景にある、
社会全体の貧困率の上昇に目を向ける必要を強調する。(以下省略)
URLリンク(wordleaf.c.yimg.jp)
URLリンク(wordleaf.c.yimg.jp)
URLリンク(thepage.jp)