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★「権力vsマスコミ」という対立構図を描きたがる朝日新聞の悪癖〜2015年、テレビの大問題は「それ」じゃない
2015年12月30日(水) 高堀 冬彦
■政治の介入を招いたのは自業自得
朝日新聞の12月19日付夕刊に「(回顧2015)放送 政治の圧力にさらされて」という特集記事が掲載された。
2015年の放送界を振り返ると、政治からの圧力を受けたことが最大のニュースだったというわけだ。本当だろうか?
筆者はそうは思わない。ピント外れの記事だと考えている。長らく娯楽の王様であったテレビの視聴率下落に
歯止めが掛からないことのほうが、より大きな問題ではないのか。市民の暮らしが様変わりしようとしているのだから。
80年代前半からテレビ界のリーディングカンパニーであり続けたフジテレビの凋落も特筆すべき事柄だろう。
テレビ界という一大産業に地殻変動が起きているのだから。言ってみれば、トヨタの販売シェアが日産やホンダに
負けてしまったようなものなのである。
第一、テレビ界が政治の介入を招いてしまったのは、自分たちのエラーによるものだ。けして一方的に政治からの
圧力を受けたわけではない。
なにかと「権力vsマスコミ」という対立構図を描きたがるのは、終戦直後から続く朝日新聞の悪癖だと思っている。
正直なところ、「権力vsマスコミ」という図式の記事は書くのは簡単なのだ。その上、権力嫌いの読者にも受ける。
なぜ、朝日新聞が「政治から圧力を受けた」と指摘したのかというと、不正な演出があった『クローズアップ現代』を
放送したNHKと、コメンテーターで元経産官僚の古賀茂明氏(60)が『報道ステーション』内で番組の趣旨
に沿わない発言をしたテレビ朝日の幹部を、自民党が事情聴取したからである。
加えて、朝日新聞は、監督官庁である総務省の高市早苗大臣(54)がNHKに対して厳重注意の行政指導を
行ったことも憂慮している。
URLリンク(gendai.ismedia.jp)
■政府・与党に擦り寄るテレビ界
問題が多岐にわたっているので、整理してみたい。
まず、自民党にテレビ局を事情聴取する権限など存在しないのだから、これは言語道断である。二度と繰り返されてはならない。
半面、自民党から事情聴取を受けた側のテレ朝の早河洋会長(71)や朝日新聞出身の吉田慎一社長(65)、
番組審議会委員長の見城徹・幻冬舎社長(64)は、古賀氏問題の前から官邸詣を行っている。
他局の首脳陣や要職者も安倍晋三首相(62)らとゴルフに興じたり、会食を行ったりしている。
政治がテレビ界に圧力を加える前に、近年、テレビ界側が政府・与党に擦り寄っているほうが問題なのではないか?
本来なら、朝日新聞は、「政治からの圧力」を指摘する前に、政治とテレビ界の水面下の関係を読者に伝えるべきだろう。
テレビ界は権力の監視役でもあるのだから。
朝日新聞の論調では、テレビ界側が政府・与党と距離を置き、権力の監視に務めているのに受け取れる。
にもかかわらず、政府・与党側が不当な介入をしたように伝わってくる。だが、現状は違う。
普段は親しい政府・与党とテレビ界が、小競り合いをしたようなものなのだ。
また、不正演出のあった『クロ現』のNHKに対し、総務省側が行政指導を行ったのは、
職務に忠実だっただけと捉えるべきだろう。市民に代わってテレビ界の不正を指導するのは総務省の役割だ。
そもそも、問題の『クロ現』のテーマは詐欺事件。政治色は一切なかった。
放送界が出資して設立した番組の検証機関「BPO(放送倫理・番組向上機構 )」も総務省の行政指導に異議を唱えた。
確かに、テレビ界の問題はテレビ界内で自主的に解決するのが理想である。
だが、いくらBPOが頑張ろうが、やらせなどの不正は一向になくならないのだから、監督官庁である総務省が動くのは
やむを得ないだろう。アメリカのFCCやイギリスのOfcomなど諸外国にもテレビ界を監督する行政機関はある。
日本だけが特殊なわけではない。
産業界にデータ偽装問題があれば、経産省や国交省が指導する。教育現場に問題があれば、文科省が指導する。
国民共有の財産である電波を使って事業を行っているテレビに不正があれば、総務省が指導するのは当たり前の話である。
そこで「表現の自由」を持ち出すのは問題のすり替えに過ぎない。
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