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★【話の肖像画】ケント・ギルバート(1) 「無責任な自称・保守は極左のことを笑えない」
2015.11.23 07:00
〈歴史問題などをめぐって保守的な発言をする米国人として、その言動が幅広い支持を集めている。
以前から保守的な考えの持ち主だった?〉
僕はもともと世間でいう「保守」ですよ。僕が最近、保守になったと思う人は、日曜朝のTBSの
報道番組「サンデーモーニング」に出演していた頃の僕を知らないのかな。いまの番組は左の人しか
いないけどね。僕は番組がスタートした昭和62年から10年間出演しました。初期のころの出演者
には総務相になった高市早苗さんや、政治学者のペマ・ギャルポさん、元バレーボール全日本代表選手の
三屋裕子さんたちもいて、バランスがとれていました。
ところが、湾岸戦争(平成2年)のとき、作家の瀬戸内寂聴さんが出演しました。
寂聴さんが「クウェートで戦争しちゃだめだ」というから「イラクがクウェートを侵攻したのに、
クウェートの人はどうすればいいんですか?」と聞いたら、彼女は「我慢すればいい。
東欧の人もずっと我慢したらソ連から解放されたでしょ」っていうんですよ(笑)。
〈保守論陣の一翼を担うようになったと認識され始めたのは、昨年8月に朝日新聞が慰安婦問題に
関する報道で誤報を認めてから〉
友人の中には「慰安婦の話は嘘だ」という人もいれば「日本政府が認めている」という人もいました。
私は後者寄りでした。それほど関心がなかったんです。だけど、朝日新聞が誤報を認めたと聞いて
考えが変わりました。なぜなら、日本国内だけがだまされていたのなら国内問題ですが、
米紙ニューヨーク・タイムズなども掲載し、国連や米下院まで大騒ぎした話なんですから、
すでに大きな国際問題ですよ。朝日の報道で日本の国益が著しく失われた。これは発言しないと
だめだなと思って、日本語と英語で自分のブログに書きました。
僕はメディアに出る側の人間だけど、メディアに対する不満もあります。それは嘘と偏向とタブーが
多いこと。大手メディアの情報だからとうのみにしたり、日本は平和だからと油断したりしている人は、
この問題の深刻さに気づいていない。そういう不満や、これは絶対に違うよということを言い始めたら、
世間がビックリしたみたいですね。
僕は保守といわれるけど、自分が真ん中、中道だと思っています。左でもなければ右でもない。
真実を知りたいだけです。正しいファクト(事実)に基づいて判断して、結果が左なら左、右なら
右で構わないんですよ。ただ、日本の左は感情論ばかりで事実の裏付けがないから支持できないだけです。
歴史問題で発言するようになって、いろんな人たちとの交流が始まりましたが、保守だから良いという
わけでもないし、左だから悪いわけでもありません。左か右かではなく、メディアリテラシーの問題です。
偽情報を確かめもせず、脊髄反射で拡散する無責任な自称「保守」は極左のことを笑えません。
(聞き手 田北真樹子)
URLリンク(www.sankei.com)