15/11/21 14:14:33.18
>>1より
◆オーストラリアの首相交代の影響は?
オーストラリアでは今年9月、与党の党首選により、アボット前首相からターンブル新首相への交代劇があった。
そのことは潜水艦の取引相手の選定にどのような影響を与えているだろうか。
アボット前首相は安倍首相との密接な関係で知られていた。防衛省の石川審議官は豪当局から、
首相交代は選考プロセスに影響しないだろう、と伝えられたという。
だが、首相交代によって、国内建造を求める声はますます高まっているようだ。アボット前首相が降ろされた後、
機運は急速に移り変わっており、ターンブル政権は、もし国内製造によって対価がもたらされ、価格が抑えられた
ままであるならば、国内建造計画を熱望している、と豪紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)は伝える。
またAFRは、多くの業界消息通が、アボット前首相が2014年末に日本との秘密の取引に署名する寸前だったと
確信している、と語る。その計画では、12隻の潜水艦が日本で建造され、メンテナンスのわずかな部分だけが
オーストラリアで実施されることになっていた、としている。WSJは、日本はオーストラリアの首相交代によって
えこひいきを失った、と語っている。
オーストラリアのペイン国防相によれば、豪政府は来年前半に取引相手を決定する予定だという(WSJ)。
3者ともオーストラリア国内での建造に同意しているが、必ずしも全艦が同国内で建造されるわけではない。
オーストラリア政府は応募者に対し、「全艦オーストラリア国内建造」「全艦国外建造」「折衷」の3パターンの
プランを提示することを求めている。そして政府は取引相手の決定後に、3年間かけて、工程と詳細を相手側と
煮詰めていくそうだ(AFR)。
◆アジア太平洋諸国の国防戦略にとって潜水艦の重要性は増している
オーストラリアのこれからの国防戦略にとって、潜水艦は非常に大きなウエイトを占めているようである。
豪テレビ局「9 News Australia」が伝えたところによると、ペイン国防相は「わが国の将来の問題に対処するため」
最新鋭潜水艦を導入する旨を語ったそうだ。「潜水艦は今日のわが国の防衛戦略の不可欠な要素であり、
今世紀後半になってもそうだろう」として、潜水艦は根幹をなす戦略的軍事能力であり続けると語ったという。
潜水艦を戦力の重要な要素と見るのは、アジア全体に広がっている傾向のようだ。ブルームバーグによると、
多くのアジア太平洋諸国が、通常動力型潜水艦によって自国の潜水艦隊を近代化することを目指しており、
オーストラリアもその1つだという。2030年までには、世界の潜水艦の半分以上が、アジアに存在するように
なると予想されているとも。中国も、70隻前後からなる自国の潜水艦隊を近代化しつつあるという。
WSJによると、豪政府は、小さいながらも技術面で練度の高い自国軍が中国など近隣国に対して持っている
アドバンテージを、新たな潜水艦隊も保つことを望んでいるという。提案されているどの潜水艦が導入されても、
オーストラリアはアジアで最強クラスの水中艦隊を得ることになる、とWSJは語っている。(田所秀徳)