15/11/13 15:27:59.43 *.net
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)
2015/11/13 14:18 JST
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(ブルームバーグ):安倍政権が「新3本の矢」政策の目標として掲げた国内総生産(GDP)600兆円達成に向け、隠れた成長促進剤が用意されている。
来年度に予定されている国民経済計算(SNA)の新基準導入だ。2000年以来となる今回の大改訂によってGDPが20兆円程度上振れる可能性が指摘されている。
国際連合が08年に見直した新たな国際基準に対応するため、企業の研究開発(R&D)にかかる費用を新たにGDPに反映させることが今回の見直しの柱。
現行基準では経済的な利益を直接生み出す投資ではないとされて計上されていない。
最終消費支出に計上されている政府の研究開発費も新基準では総固定資本形成(投資)に計上されることになる。
内閣府経済社会総合研究所によると、新基準のR&Dを適用すると名目GDPを3.0%から3.6%程度押し上げる効果がある。
政府経済見通しでは2015年度の名目GDPは504.9兆円が見込まれており、最大約18兆円の上積みが期待される。
新基準を導入した米国は名目GDPが2.2-2.5%ポイント、ドイツは2.3%ポイント、ぞれぞれ上振れた。
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「研究開発費に多額の資金をつぎ込んでいるのは日本企業の強みでもある。
これを含めるのは基本的にはプラスだ」としながらも、「伸びがどれくらい高まるかはなんとも言えない」との見方を示している。
科学技術・学術政策研究所によると日本の研究開発費総額(名目額)は経済協力開発機構(OECD)推計で約16.7兆円。
13年には対GDP比3.45%と主要7カ国(G7)でもトップクラス。ドイツが2.94%、米国が2.8%(12年)と続く。
日本の研究開発費の対GDP比率はリーマンショックが起こった08年を頂点に減少傾向にあったが、11年から増加に転じた。
日本における研究開発費の研究主体の7割を企業が占め、うち2割近くが輸送用機械だ。
トヨタ自動車は今期(16年3月期)研究開発費を前期比5.5%増の1兆600億円に増やす。日立製作所は今期で前期比6%増の3550億円を想定している。
※麻薬
内閣府の中長期の経済財政に関する試算の経済再生ケースでは2016-20年度までの平均成長率を実質1.84%、名目3.32%とし、
20年度に594.7兆円と600兆円をほぼ達成するシナリオを描いている。GDP600兆円はこれを裏付けする目標だが、
市場関係者の間では高めの成長率を想定した政府の見通しに否定的な見方も強い。
国民経済計算の作成基準を検討する政府の部会で専門委員を務めたニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事は
「GDPが大きくなっても実態は全く変わらず、成長率にはほとんど影響がない」とした上で、新基準が反映されても「600兆円の達成は難しい」と予想する。
また日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「R&Dが多少なりともGDPを押し上げるのは確かだが、
麻薬のような効果で到底、達成できるものではない。成長戦略を着実に進めて成長率を引き上げていくことが必要不可欠だ」と述べた。
東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストも、今回の基準改訂で名目GDPの水準がかさ上げされたとしても
「600兆円の目標の達成は依然としてハードルは高い。17年4月に消費増税も控えている中で、名目3%の成長は難しい」と指摘している。