15/11/12 14:29:51.32
>>1より
もうひとつ、スーチー氏の民主活動家しての姿勢に疑問が持たれているのは、ミャンマー国内の少数民族
であるロヒンギャの迫害に対して、何も声を挙げないことです。ロヒンギャはミャンマー国内のムスリム勢力であり、
これまで宗教対立、民族対立により、軍事政権下でも仏教徒による弾圧にさらされてきました。
ロヒンギャはスーチー氏に期待し、彼女を支持すると表明したため、さらに迫害を受け続けてきました。
現在では「世界でもっとも迫害を受けているマイノリティ」と言われるロヒンギャですが、スーチー氏は
このロヒンギャ問題について、まったく無視しているどころか、時には迫害者となっている仏教サイドを
擁護する発言すらしており、国際社会ではスーチー氏に対する疑念が持ち上がっています。
アジアではたいてい多民族国家が多く、日本はきわめて珍しい例外です。
中国は50以上、ベトナムも50の民族があります。ミャンマーも多く、130以上とも言われています。
民主主義と民族主義の対立は激しく、民主主義は民族の抑圧を正当化する恐れが多々あります。
ミャンマーの軍人はほとんどがエリートで、江戸時代の武士の国の時代、日本の鎖国時代とそっくりです。
民主主義が成熟するまでどうなるのか、実に厳しい事態が続くと予想されます。
英領の時代は華僑と印僑がイギリスの番頭として、ビルマの多民族社会を支配していましたが、
東南アジアではタイ、ベトナムとならぶ大国です。
政治家が時として現実路線を取るのは、ある意味で仕方ない部分があります。
父親のアウンサン将軍も、そのために日本を裏切りました。スーチー氏が政権を取ったとしても、
かつての「民主活動家」としてのスーチー氏はもういないのだという認識が必要です。
ISISがロヒンギャをリクルートしているという話もあり、今後、ミャンマーでテロ活動が活発化する恐れもあります。
人権派、民主活動家というと、日本では無条件に崇め称える風潮がありますが、私は中国の人権派、
民主活動家については、かなり懐疑的でした。というのも、彼らの多くは「大きな中国」には賛成であり、
民主化が達成されても「大きな中国」は堅持する、という主張が大勢なのです。
だから台湾の独立は認めない、ウイグルやチベットの独立には否定的という「大中華主義」の人が多いのです。
スーチー氏が政権を取ることによってミャンマーの政体は大きく変わるでしょうが、過度の期待は禁物なのです。
これからのミャンマーはいったいどこへ行くのか、欧米は目が離せないところです。