15/07/20 11:56:20.52
★憲法改正しない安倍首相は自己矛盾している 米国の要求丸飲みでは中国包囲網は築けない
7月16日、いわゆる「安全保障関連法案」(一定の条件下での、集団的自衛権の行使容認などが主な趣旨)が衆議院を通過しました。
今回の安倍政権の一連の対応を見ると、安倍晋三首相がいかに、アメリカを意識しているかがわかります。
具体的に言えば、安倍首相が意識しているのは「第3次アーミテージ・ナイレポート」ではないかと思うのです。
●日本は『一流国』であり続けるのか、否か
2012年8月、アメリカのリチャード・アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ元国務次官補
(ハーバード大学ケネディ政治学大学院元学長ジ)が連名で、
「The U.S-Japan Alliance ANCHORING STABILITY IN ASIA(アジアの安定のための日米同盟)」という報告書を発表しました。
2000年、2007年に発表された二度のレポートに続くもので、「第3次アーミテージ・ナイレポート」と呼ばれています。
以下、私の解釈を交えながら紹介したいと思います。
このレポートでは、「日本は今後も、世界の中で『一流国』であり続けたいのか、それとも『二流国』に甘んじるのか」と問いかけ、
「一流国であり続けたいなら、国際社会で一定の役割を果たすべきである」としています。
そのうえで、専守防衛などのいわゆる「時代遅れの抑制」を解消し、アメリカの防衛戦略
にこれまで以上に強く関与すること、
そしてアジア太平洋地域の海洋安全保障においてアメリカが果たしている役割を補完して、
米中の戦略的均衡の要になることを、日本に強く求めているのです。
アーミテージとナイはこのレポートで、アメリカ側が日本に期待する役割として、次のような具体例を挙げています。
(続く)
東洋経済オンライン URLリンク(toyokeizai.net)
続きは>>2-4
▽過去スレ
【政治】 田原総一朗「安倍首相の安保政策は米国『対日レポート』の丸写しだった」
スレリンク(newsplus板)
2:擬古牛φ ★
15/07/20 11:56:36.64
>>1の続き
第1に、中国共産党政権の「接近阻止・領域拒否」戦略に基づく中国海軍の増強と行動範囲の拡大に対して、
アメリカの「エア・シーバトル構想」に則って日本の海上自衛隊が対峙し、尖閣諸島周辺はもちろん、
中国がベトナムやフィリピンと係争を繰り返している南シナ海においても、平和と安定の維持のため、
米軍に協力して共同で監視活動を実施すること。
第2に、中東・ペルシャ湾のホルムズ海峡の安全航行の確保のため、
イランの封鎖の兆候が明らかになった場合には、日本単独で海上自衛隊の掃海艇を派遣し、機雷を除去すること。
第3に、国連平和維持活動において、他国の部隊の護衛を可能とするよう、派遣部隊の法的権限を拡大すること。
アメリカ側には、かつてエジプトがアラブ諸国の結節点となったように、
日本をインドやASEAN諸国を束ねる結節点としたいという期待があるようです。
逆に、そうした形でアメリカに協力する意志がないのであれば、「日本は今後、二流国になる」と警告しているのです。
また、このレポートではアメリカ政府に対しても、「日本へのLNG供給を容易にする」「日本のTPP参加を促す」
「日本の防衛産業に対し、オーストラリアなど他の同盟国への輸出を働きかける」
「大統領による政治任用の際、日米同盟を深化させることを考慮する」などの提言を行っています。
●レポートは今も日米両政府に影響を与えている
アーミテージとナイのレポートはあくまで「政府外からの提言」ではあるのですが、
このレポートが日米両政府に与えている影響は非常に大きいようです。
現在、オバマ政権ではこのレポートで提言されたとおり、多くのLNG生産基地を建設して日本向けにも輸出を始めようとしていますし、
日系人のハリス大将を太平洋軍司令官に起用したことも、レポートの提言に沿ったものです。
安倍政権でもレポートの提言どおり、TPP交渉に参加を決め、潜水艦技術をオーストラリアに提供しようとしています。
さらには、「平和安全法制整備法」「国際平和支援法」という、いわゆる安保法制の2法案を閣議決定し、
「自国が直接攻撃されていなくとも、密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、武力をもって阻止する」という
「集団的自衛権」を容認しようとしています。
安倍晋三首相は2015年2月の国会で、集団的自衛権行使の具体例として、
ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合を挙げ、「わが国にかつての石油ショックを上回る混乱と深刻なエネルギー危機が発生しうる」として、
「集団的自衛権が容認されれば、わが国独自の判断でホルムズ海峡の機雷を除去することが可能になる」との認識を示しました。
これなどは、まさに第3次アーミテージ・ナイレポートに書かれている内容そのままです。
続く
3:擬古牛φ ★
15/07/20 11:56:45.75
>>2の続き
このレポートの内容を踏まえて、安保関連の安倍内閣の動きと見比べると、一連の安倍内閣の行動が、
安倍晋三首相の個人的な政治思想に基づくものというより、
アメリカ側の「軍事的協力の要請」に従ったものであることは歴然ではないでしょうか。
●「対中国包囲網」は日本独自の信用力を活かせ
こうした安倍内閣の、米軍の「下請け的な行動」は、きわめて疑問の多いものです。
日本はもともと、領土など政治的問題の解決を武力に頼らないという点で、
アジアの多くの国で中国よりもはるかに信用されています。
もし、日本が今後もアジア太平洋地域の平和と安定に貢献するのであれば、
アメリカとの「軍事協力」を通じてではなく、平和的姿勢についての独自の信用力を活かして、
対中国包囲網の結節点となっていくべきです。
安保法制による集団的自衛権の容認は、日本の武力行使についてのアジア諸国の不安を掻き立て、
対中国包囲網を形成する上ではマイナスになりかねないのではないでしょうか。
安倍晋三首相が、「現在の憲法はGHQの押しつけ」と言いながら、
憲法解釈について結局は「アメリカの言いなり」になっていることは、自己矛盾しているとしか言いようがありません。
もしアメリカ政府の意を受けて、憲法違反が指摘されている同盟強化に踏み込むとするなら、
その是非について国民の賛否を問うのが筋です。それをないがしろにすれば、
安倍政権の支持率も急低下し、2016年の参議院選挙をにらんで与党分裂の可能性も出てくるかもしれません。
しかも、17日の「新国立競技場の見直し」は16日の安保法案の衆院通過直後に発表されました。
私が前回の記事「政権にすり寄る『御用メディア』に騙されるな?日本人の生活は、ますます苦しくなっている」でも書いた通り、
「御用メディア」は政権寄りのバイアスのかかった報道をするものです。
今回、政府筋では「御用メディア」が新国立競技場の見直し報道を積極的にしてくれることで、
安保報道が相対的に埋もれることを狙っていたのでしょうか。
また、「たとえ政権の支持率が一時的に下がっても、来年には国民は忘れているだろう」
「今回、新国立競技場の建設計画について抜本的見直しを発表したことで、支持率の低下が止まるだろう」などと
高をくくっているのかもしれません。しかし、日本国民はそんなに愚かではないと思われます。
以上
4:擬古牛φ ★
15/07/20 11:58:31.44
●第3次アーミテージ・ナイレポート 概要
URLリンク(www.mod.go.jp)