15/06/26 11:42:58.31
>>1より
■逃げる民主党
それを言い出すと、民主党のように「集団的自衛権に反対しながら安保条約は認める」
という立場が矛盾に満ちたものになってしまう。民主党は「安保条約は違憲」などと
言わない。その一方でもっともらしく集団的自衛権に反対と言い続けるために、
安保条約の前提には触れたくないのである。
私は『週刊ポスト』コラムで、集団的自衛権にも安保にも反対と主張しているのは
日本共産党だけと書いたが、天木氏は一歩踏み込んで「共産党も口で反対を唱えるだけ。
政治家は本質的な議論をせよ」と主張している。私は「本質的な議論をせよ」という
主張に全面的に賛成だ。そこで議論を整理しよう。
まず「安保条約は集団的自衛権を認めている。だから安保にも集団的自衛権にも反対」
という立場がある。これは(口だけかもしれないが)共産党や天木氏である。
それなりに首尾一貫しているのは言うまでもない。
次に「安保条約には賛成だが、集団的自衛権は反対」という立場がある。
この主張をもっともらしくするために、安保条約が集団的自衛権を認めているか
どうかはあえて言わない。これは民主党が典型だ。
それから「安保条約にも集団的自衛権にも賛成」という立場がある。まず政府与党だ。
ただし、政府は安保条約が集団的自衛権を容認しているかどうか、問われない限り、
自分からは言い出さない。反対派を無用に刺激したくないからだ。国会会期に限りが
ある中、政府案の可決成立を目指すとなると、なおさらである。
最後が、私のように「安保にも集団的自衛権にも賛成。そもそも安保は集団的
自衛権を前提にしている」と世間に公言する立場である。
いまの国会論議がどうなっているかといえば、2番目と3番目の対決が典型的だ。
一見、ガチンコを装いながら、野党は安保条約に触れるのを避けている。
そこに触れてしまうと、集団的自衛権を認めている姿が明らかになってしまうので、
あえて目を伏せている。国民が核心を理解できないのは、これも一因だ。
■奇妙だからわかりにくい
もう1つの論点は、後方支援と武力行使の関係である。いうまでもなく日本国内の
米軍基地は有事の際、米軍に武器弾薬や兵力の補給を担う後方支援の要である。
日本が米軍にそんな基地の使用を許せば、日本が米軍の後方支援をした形に
なるのは言うまでもない。
では、そういう後方支援は武力行使でないのか。政府の立場は「武力行使ではない」。
なぜかといえば、もしも「後方支援も武力行使」と認めてしまえば、米軍に対する
基地提供が武力行使という話になって、朝鮮半島有事で直接、攻撃されてもいない
日本が(基地提供の形であれ)武力行使するのは違憲という話になりかねないからだ。
ここは民主党も同じだ。岡田克也代表が党首討論で述べたように「後方支援は
武力行使ではない」という立場に立っている(URLリンク(www.katsuya.net))。
だから、どこまでなら武力行使に当たらない後方支援なのか、という苦しい議論になっている。
そんなものはないのだが…。
一方「後方支援も武力行使」という立場がある。私はそう考える。安倍首相の諮問機関である
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が昨年5月に出した報告書
(URLリンク(www.kantei.go.jp))も、そういう立場である。
ここは、実は共産党も同じだ。志位和夫委員長は6月17日の党首討論で「後方支援は武力行使」
という立場に立って質問した。同党が配布したビラには「後方支援=武力行使が世界の常識」
とある(URLリンク(www.jcp-tokyo.net))。政策の主張は私や安保法制懇と
正反対なのに、武力行使に関する認識は同じなのだ。
この奇妙さこそが分かりにくさの理由でもある。政府与党も民主党も後方支援と武力行使が
分けられるかのように装いながら、どこまでなら許されるかを議論している。
両者は分けられるのか。現実の世界でそんなことは不可能だ。
いざ有事になれば、韓国を攻撃した北朝鮮は支援する米軍の沖縄基地をミサイルで直接、
狙い撃ちすることもできる。そのとき日本が「ここは後方支援の基地ですから、
武力行使はしていません。どうか撃たないで」などと言っていられるか。
>>3へ