15/06/09 14:50:42.95
>>1より
問題は、集団的自衛権の行使をどこまで認めるかということであった。
いまの国会での議論を見ていると野党側の追及は、集団的自衛権の行使は一切してはならな
いという前提に立っているが、だとすれば日米安保体制との矛盾をどう説明するのか、
説得力ある論理を聞きたいものである。
◆「違憲の軍隊」なら、災害救助も憲法違反なのか
共産党は、安保法制は違憲だと言う。それはそうであろう。同党は、自衛隊そのものを
「違憲の軍隊」と位置付けているからだ。だとすれば議論の必要もなくなる。
存在そのものが憲法違反なのだから、その「違憲の軍隊」が何をしたとしても憲法違反だと
いうことになる。武力行使と一体化するかしないか、戦闘地域に行くか行かないか、
などという議論をする意味がそもそもないのである。
災害救助だって憲法違反ということになってしまうのが、共産党の立場なのだ。
つまり自衛隊を解体しない限り違憲状態はなくならない。もちろん日米安保条約も違憲の
条約ということになる。自衛隊もない、在日米軍もいなくなる、まったく軍事的空白を
生み出そうというのが、共産党の主張なのである。
なぜあえてこういうことを指摘するのかと言えば、もちろん嫌がらせではない。
安保法制の議論というのは、日本の安全保障をどうするのかということが問われている問題だからだ。
◆欠落している一番大事な議論、日本の安全保障をどうするのか?
いまの国会論戦を見ていると、この一番大事な安全保障論が欠落している。
法案のあれこれを捉えて憲法違反だと主張することも結構だが、もっと大事なことは日本の安全保障だ。
「戦争法案」などとレッテルを張るだけではなく、それぞれの党が、そのことを明らかにして
論戦に挑まないと意味がない。
違憲論にしても、それぞれの党がどこまで違憲であり、どこまで合憲だと考えているのかを
明らかにすべきである。自衛隊は違憲か合憲か。日米安保は違憲か合憲か。現行の周辺事態法は
違憲か合憲か。PKO活動は違憲か合憲か・・・etc。野党間でも、実はばらばらである。
共産党の場合には「すべて違憲」という立場のはずだ。だとすれば無防備主義を堂々と主張すべきなのである。
民主党の場合は、大勢は集団的自衛権の行使を容認しているはずだ。
では、どこまでなら容認するのか、そのことを明確にすべきである。
政府・自民党も「切れ目のない安全保障体制」などという抽象的な言辞ではなく、
もっと具体的に語るべきだ。安全保障論をもっとぶつけ合ってほしいものだ。
◆政府も、もっと率直に語るべき
政府の説明も、十分なものではまったくない。ホルムズ海峡の話ばかりが出てくるが、
日本にとって喫緊の課題はそんなところにはない。
例えば尖閣諸島だ。中国の無法が続いている。アメリカは「安保の適用範囲」だと言うが、
だからといって、いざというときにアメリカが日本と共に中国と戦う保証はない。
だからこそ集団的自衛権の行使で大きく一歩を踏み出そうというのが、安倍首相の思惑だと思う。
日本が集団的自衛権の行使で一歩踏み出せば、アメリカもいざというときに集団的自衛権を
行使する確率が高まるということだ。そのことを率直に語るべきである。
イラクなどに派遣された自衛隊員56人が帰国後自殺していたことが、明らかにされている。
衝撃的な数字だ。原因はいろいろあるだろうから、なんとも断定することはできない。た
だ考えてほしいことがある。自衛隊員の派遣に大義があったかどうかである。
あくまでも一般論だが、大義があれば、隊員が真に意義を感じていたなら、また違った
結果になったのではないか、と思うからだ。安保法制が、どういう結論になろうとも
自衛隊員の大義なき派遣だけはやめてもらいたい。これは政治家の大きな責任である。(了)