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日本年金機構の加入者情報流出問題で、野党が攻勢を強めている。
民主党は2日、「漏れた年金情報調査対策本部」を設置。第1次安倍政権で問題化した「消えた年金」問題の再現を狙う。
さらに、労働者派遣法改正案を審議中の衆院厚生労働委員会を舞台に政府を追及する構えだ。
年金問題が政権失速につながった悪夢の再来を懸念する政府・与党は、
首相官邸主導で原因究明に当たる姿勢を示し、火消しに躍起だ。【高本耕太、佐藤慶、阿部亮介】
野党の追及対象は、先月8日のウイルス感染判明後も情報流出が続き、
同28日に厚生労働省が事態を把握しながら、公表が今月1日にずれ込んだ点だ。
民主党の細野豪志政調会長は2日の記者会見で「漏れた情報で年金生活者の詐欺被害が発生しうる。
ここまで国民に情報公開しなかった政権の隠蔽(いんぺい)体質が厳しく問われる」と批判。
維新の党の柿沢未途幹事長も「社会保障と税の共通番号」(マイナンバー)の導入が間近なことを挙げ
「ずさんでお粗末な形で情報流出した。見過ごすわけにいかない」と指摘した。共産党の小池晃副委員長は「この問題が国会の最優先課題だ」と語った。
厚労委は2日の理事懇談会で、年金問題の集中審議を3日に行うことを決め、
与党が狙っていた派遣法改正案の5日の採決は遠のいた。野党には「年金の集中審議は1日では足りない」との声もあり、
改正案の行方は波乱含みだ。維新幹部は「派遣法を強行採決すれば、安全保障関連法案の審議も止まる」と断言。
「1強多弱」を転換するため、「年金国会」に持ち込む思惑ものぞく。
一方、首相官邸は問題を深刻に捉えている。菅義偉官房長官は先月29日に報告を受けた際、
「徹底的な調査」を指示。30、31日の週末で「流出の全容」を把握するよう命じ、
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を調査に関与させることも決めた。
菅氏は2日の記者会見で「厚労省と年金機構の調査に緊急支援チームを派遣した。NISCにも原因究明チームを設置する」と表明した。
第1次政権の総務相として「消えた年金」問題の収拾にあたった菅氏にとって、
当時の社会保険庁が全容を把握できぬまま問題が五月雨式に明らかになり、
政権失速につながった苦い記憶がある。官邸内には「次から次に問題が出るのは印象が悪い」との懸念が強く、
菅氏は2日の会見で「週末に全容解明に全力で取り組み、月曜日に公表した。適切な対応だった」と野党の批判に反論した。