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★リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲
北野幸伯 [国際関係アナリスト] 2015年4月28日
アジアインフラ投資銀行(AIIB)事件が、世界に大きな衝撃を与えている。加盟国は57ヵ国。
米国と緊密なはずの英国、イスラエル、オーストラリアなども参加国だ。米国は、いかに逆襲するのだろうか?
・AIIB事件の本質とは? 「覇権国家」米国の凋落
習近平が2013年10月、APEC首脳会議で設立を提唱したAIIB。当初は、東アジア、東南アジア諸国が
参加するだけの小規模なものになると見られていた。しかし、ふたを開けてみると、加盟国は57ヵ国。
そして、参加国の中には、米国と緊密なはずの、英国、イスラエル、オーストラリアなどが、
「米国の不参加要求」を「無視して」参加を決めた。
世界的に孤立し、追いつめられた落ち目の覇権国家・米国は、いかに逆襲するのか?今回は、この重要問題を考えてみよう。
米国の「逆襲方法」の前に、「AIIB事件の本質」について触れておこう。この事件の本質は、
「同盟国が米国の言うことを聞かなかったこと」である。これは、それほど重要なことだろうか?
米国は、「覇権国家」だ。少なくとも、今まではそうだった。ところで、「覇権」とはなんだろう?辞書を見ると、
「覇者としての権力。力をもってする支配力」とある。要するに「支配している国」ということである。
しかし、覇権国家とはいえ、他国を直接統治しているわけではない。 国連には、加盟国が193ヵ国あり、
それぞれの国が、「独立した政治を行っている」(という建前である)。
では、「覇権国家が覇権国家であること」は、なぜわかるのか?ポイントは、「覇権国家の言うことを他国が
聞くかどうか?」である。なぜ日本は、「米国の属国」と言われるのか?日本政府が、米国の言うことを聞くからだ。
政府が「国益」を最優先に考え、米国の言うことを聞いたり聞かなかったりすれば、日本は「属国」ではなく、
「自立国家」と呼ばれるだろう。
では、覇権国家の影響下にある国々が、言うことを聞かなくなったらどうなるのだろう。
答えは、「覇権国家は、覇権国家でなくなる」だ。
・かつてのソ連に見る覇権国家没落の例
ソ連はかつて、「共産主義陣営」の「覇権国家」だった。しかし、1980年代後半、ソ連経済は深刻な経済危機に陥った。
そして、ゴルバチョフの「ソフト路線」もあり、支配下にあった東欧諸国は、もはやソ連を恐れなくなった。
その時、何が起こったのか?89年、東西ドイツを隔てていた「ベルリンの壁」が崩壊。続いて、東欧で
「民主革命」がドミノ式に起こった。そして、ソ連は「覇権国家」としての地位を失った。そればかりでなく、
15の国々に分裂してしまった。これは、他国が言うことを聞かなくなり、覇権国が没落した分かりやすい例である。
このことを踏まえて「AIIB事件」について考えてみよう。米国は、同盟国群に、「中国が主導するAIIBに
参加しないよう」要請(命令)していた。ところが、英国は3月12日、G7諸国ではじめて参加を表明。
これに、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグ、オーストラリア、韓国などが続いた。
これらの国々は、「米国の言うことを聞かなかった」。つまり、米国の覇権(支配)を拒否したのだ。
これは、「米国が覇権を喪失した象徴的事件」として、歴史に記憶されるはずである。
そして、米国の要求を無視した国々は、逆に中国の言うことを聞いた。今回の一件だけで「中国が覇権国家になった」
と考えるのは早計過ぎる。しかし、「覇権に一歩近づいた」とは言えるだろう。
では、同盟国たちは、なぜ米国を裏切ったのだろうか?理由は、二つ考えられる。一つは、「AIIBに入った
ほうが儲かりそうだ」と判断した。二つ目は、「逆らっても、オバマ米国は何もできないだろう」と判断した。
特に理由二つ目は、「ソ連末期の状況に非常によく似ている」といえる。
では、「AIIB事件後」、中国は一直線で「覇権国家」になれるのだろうか?
米国は、このまま衰退しつづけ、中国に覇権を「禅譲」するのだろうか?
>>2へ続く
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