15/04/10 15:15:48.78
>>1より
・雇用維持に必要な成長率を取り戻すための起爆剤
陳さんはいう。
「この就職問題を解決しないと、社会不安が高まってしまう。雇用の確保、これこそが中国政府の喫緊の課題です」
今年3月初旬に開催された全国人民代表大会の政府活動報告で、昨年の経済成長率は24年ぶりの
低い水準の7.4%となった。背景には、住宅市場の低迷、工業部門の生産過剰などがある。
その一方で、2015年の国内総生産(GDP)伸び率については「7%前後」とした。
陳さんはこの「前後」という言葉にも不安を寄せる。
「6%台もあるかもしれない。いや、ヘタしたら5%台になることだって…」。
雇用維持のためには「8%以上の成長率」の維持が必要とされてきたが、
それを割り込んでしまった今、中国経済を回す歯車は大きく狂い始めた。
「このままでは政権維持も難しい」―。
中国の有識者たちの表情には、冷やかしなどではない、真に迫る憂いがくっきりと表れるようになった。
行き詰った中国経済。これを打開するには「巨大プロジェクト」しかない。
閉塞感ある中国ではとにかく何らかの起爆剤を打つ必要がある。それが「新シルクロード構想」なのだ。
新興国におけるインフラ建設を中国が請け負えば、「人口の輸出」に結び付けることができる。
13億人という桁外れの人口を食わせていくには、もはや海外に雇用の受け皿を創出するしかない。
・新シルクロードは過剰在庫のはけ口?
「新シルクロード構想」に託すのは、失業対策だけではない。
中国は今、積み上がった過剰在庫のはけ口に頭を抱えているのだ。
前回、当コラムでも紹介したが、鉄鋼業界の在庫過剰は今や中国経済の大問題である。
中国では同じような製鉄所がひしめき、同じように低質な製品を市場に送り出しているのが現状だ。
ならば、鉄鋼業界をリストラすればいいと思うだろう。だが、それができないのが中国だ。
中国の製鉄業が集中する河北省で、仮に生産過剰と言われる製鉄業界を整理すれば、
たちまち10万人が職を失ってしまうからだ。
そこで中国は、この「新シルクロード構想」をぶち上げた。アジアインフラ投資銀行(AIIB)
に融資させ、相手国でインフラ・プロジェクトを立ち上げる。仮に、中国が高速鉄道を受注すれば、
鉄鋼、セメント、設備など中国国内の過剰在庫を送り込んで、消費することができる。
逆に、こうした延命策を打ち出さない限り、中国の製造業は続々と倒産しかねない。
かねてから「技術革新」の必要性は叫ばれてきたが、旧態依然とした「加工業」に甘んじてきた
のが中国企業である。時間と資金を惜しみ、あるいは不動産投資にのめり込み、場当たり的に
その場をしのいできた中国企業は、いよいよ胸突き八丁の崖っぷちに立たされている。
が、そこに中央政府による救済の手が伸びる。それが「新シルクロード構想」だ。中国企業
はいままでどおり、低廉で安価なものを生産すればいい。市場は中央政府が開拓してくれるのだ。
こうすれば、まず金融の混乱は防げるだろう。中国の、中小企業含む製造業が安泰であれば、
銀行は不良債権に悩むこともないし、社会は雇用不安を解消できる。 >>3へ