15/04/04 14:42:37.02 *.net
>>1
まず、中国には欧州に軍事侵攻する選択肢がない。中国が欧州に侵攻しようとすれば、核大国のロシアを陸から越境するか、
テロの戦火が吹き荒れる中東を横切るか、それとも大艦隊を率いてインド洋から南アフリカを回って欧州に向かうかしかない。
中国にとって、そんな選択肢はどれもありえないのだ。だから、欧州にとっては中国が軍事的脅威ではありえない。
ウインウイン(共存共栄)関係の原理に基づいたビジネスパートナーとして良好な関係を保っていればOKなのだ。そこで、AIIBに参加するという判断が合理的になる。
しかし、日本と米国は欧州とまったく事情が異なる。
日本はどうかといえば、日本の領土である尖閣諸島に中国が領土的野心をみなぎらせているのは、言うまでもない。
米国はというと、南シナ海で岩礁周辺の埋立工事を急ぎ、軍事基地建設を目論んでいる中国に警戒心を高めている。
中国が南シナ海のど真ん中にいくつも基地を築いて南シナ海全域を事実上、自国の勢力圏にしてしまえば、
米国の同盟国であるフィリピンとタイは直ちに中国の直接的な脅威にさらされる。
友好国であるシンガポールやマレーシア、インドネシア、ベトナムも同じだ。
つまり、米国にとって中国はビジネスパートナーである以上に、中国は戦略上の潜在的な脅威である。
■リベラル3紙はなぜ間違えるのか
AIIBに参加した国々は、あきらかに「脅威としての中国」ではなく「ビジネスパートナーとしての中国」との関係を優先した。
先に述べたように、欧州にとって中国は脅威ではないから実利をとった。実は中国にとっても欧州は魅力がある。
国際金融取引の拠点である欧州は、人民元の国際化を進めるうえで役に立つからだ。
中国は人民元国際化に一役買ってもらう見返りに、AIIBのインフラビジネスで欧州に
「多少の分け前を与えてもいい」と思っているだろう。まさにウインウイン関係だ。
ロシアは内心、中国の勢力伸長を警戒しているが、米国をけん制するうえで中国との連携は役に立つ。だから付き合った。
豪州は中国に警戒心を抱いてはいるが、地理的に遠く海をはさんでいるので、日米ほど直接的な脅威にさらされていない。
ブラジルにとって中国はまったく脅威ではない。遠すぎる。
アジアの途上国はどうか。たしかに中国は脅威である。だが、インフラ整備を進めるマネーは喉から手が出るほど欲しい。
自分たち自身がマネーの受け手になるのに「いらない」という選択肢は初めからなかった。
中国が脅威でないなら参加、脅威ではあっても実利が大きいなら参加、逆に明白な脅威であるなら不参加、という具合に各国の対応が分かれたのである。
ところが、東京や毎日新聞は「世界は雪崩を打って参加した。日本は乗り遅れてしまったら孤立する」と言うだけだ。
各国は脅威と実利を天秤にかけたうえでの判断なのに、単に「大勢に従え」と言っているにすぎない。
両紙には、そもそも「中国が日本にとって脅威である」という認識がない。
その点は「関与は十分だったのか」と題した朝日新聞の社説も同じである。
(URLリンク(digital.asahi.com))
ちなみに朝日は参加すべきとも、すべきでないとも言っていない。
「国民によく説明せよ」と言うのみで、どっちつかずの姿勢だ。ぶれている。
リベラル3紙に共通するのは、AIIBをもっぱら経済問題としてのみとらえて、外交安保上の戦略的視点が欠落している点である。
なぜかといえば、おそらく社説を書いている論説委員が外交安保が専門でない経済担当だから、という面もあるだろう。
もしも外交安保上の論点に気付いているのに、あえて触れないのだとしたら、まさしくリベラル派の面目躍如である。
ずばり言えば、中国を脅威としてとらえたくないのだ。
経済記者は基本的にウインウイン関係が成立する世界で取材活動をしている。だから、外交安保上の脅威に対する感性が鈍い。
彼らにとっておなじみの世界は、いつだって共存共栄が可能であり、中国だって「話せば分かる国」なのだ。
つづく