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★ISIL(いわゆる「イスラム国」)の思う壺になる「おかしな識者」「おかしな報道」
2015年02月02日(月) 高橋 洋一
2月1日早朝、後藤さんを殺害したとされる動画がアップされた。まったく酷いテロだ。
・捜査本部を早く設置すべきだった
その日の朝のNHK討論では、さすがに各党ともに、ISILを激しく非難していたが、2日からの国会では、
各党から政府批判がでてくるだろう。世間からも、なぜ助けられなかったのかという声が出るだろう。
政府の関係者からの話では、危機管理の立場から言えば、昨年に拘束された段階で難しい事案に
すでになっており、覚悟せざるを得なかったようだ。もちろん、その後何もしなかったわけでは
ないのはもちろんだ。どのような対応をとったのかわからないが、これから行われる政府内の
検証作業に委ねざるを得ない。
ただし、その日に設置された警視庁と千葉県警による合同捜査本部にはやや違和感があった。
報道によれば、「人質による強要行為等の処罰に関する法律(人質強要処罰法)」違反という。
どのような法律なのか、役人時代によく使っていた法令検索がインターネットでも利用できるので調べてみた
( URLリンク(law.e-gov.go.jp) )。
第一条第一項で、「人を逮捕し、又は監禁し、これを人質にして、第三者に対し、
義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求した者は、六月以上十年以下の懲役に処する。
同条第二項では「第三者に対して義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求
するための人質にする目的で、人を逮捕し、又は監禁した者も、前項と同様とする。」とある。
昨年夏、湯川さんがISILに拘束されたという時点ではちょっと無理だが、1月20日に、身代金要求があった
段階で既に設置しておくべきだ。実際には捜査は困難であろうが、形式的に政府が動き出したときにやらないといけない。
既に後藤さんらが殺害されてから捜査本部というのもおかしいが、実は、捜査本部を設置するというのは、
この事件の本質を表している、このため、もっと早く設置すべきだったのだ。
・ISILの思う壺
というのは、この事件を、しばしば集団的自衛権の問題と絡めて議論する向きが多いからだ。
一部の識者は、日本が戦争をしたい国に向かっている、日本は「有志連合」として、
安倍首相のテレビ発言を問題視している。
安倍首相は、テレビ討論で、集団的自衛権の法制化について「国民の生命と幸福を保護することが目的だ」とし、
「例えば、日本人が危険な状況に置かれた場合、現在は自衛隊はその能力をフルに発揮することができない」と語ったことだ。
要するに、テロに対しては、基本的に自衛隊ではなく、警察の問題だ。つまり、集団的自衛権ではなく、
警察権での問題なのだ。だから、もっと早く対策本部を設立して、今回の事件の対応が警察であることが
明確になっていれば、集団的自衛権の話と関係ないことが、誰の目にもわかりやすくなったはずだ。
ところが、安倍首相の発言と今回の事件がかなり混同されて報道された。
そのため、日本が戦争をしたい国になりたい、日本は「有志連合」に入りたい、とか、まるでISILの主張を
代弁しているかのような識者が出てきたのだ。そうした識者は、日本を貶めたいのかも知れないが、
政府のつけいる隙を与えてはいけない。そうした隙は、国内のおかしな識者とともに、
ISILの思う壺にもはまることになる。
あくまで、今回の事件はテロである。テロは、国際社会では無条件に反対するもので、
これまで数多くの国連安保理決議などによって、国際社会で支持を得ている。
最近では、昨年9月、ISILなど過激派に戦闘員として参加する外国人の処罰を加盟国に義務付ける
決議案が安保理で全会一致で採択されている。
一方、有志連合は、安保理の枠外だ。ISILへの空爆では、アメリカ、フランス、サウジアラビア、
アラブ首長国連邦、バーレーン、ヨルダン、ベルギー、オランダ、ギリス、デンマーク、ギリシャ、
カナダ、オーストラリア等が「有志連合」だ。もちろん、日本は、これらに参加していないし、
後方支援を行うわけでもない。
>>2へ続く
URLリンク(gendai.ismedia.jp)