14/11/12 14:30:18.35
>>1より
今年5月、ベトナム沖で石油掘削作業を一方的に開始した際、オイルリグを取り囲むように多数の船舶が出動し、
ベトナム船との衝突を繰り返した。中国側約100隻の船舶のうち、約90隻が民兵組織の漁船だった。潭門港には習近平主席の
「君たちは、海洋権益を守るために先陣の役割を果たしている」というバナーが掲げられたのが確認されている。
南シナ海では岩礁の領有権を巡って、フィリピンやベトナムが激しく中国と対立している。南沙諸島では中国が実行支配する
ガベン礁、クアテロン礁、ジョンソン南礁など7つの岩礁のうち、6つの礁を島に拡張する「人工島化」が進行中である。
この埋立に必要な土砂や建設資材の運搬支援はすべて海上民兵によって実施されている。
中国は基本的には軍事力で勝る米国とことを起こしたくない。経済もグローバル経済に依存しているので、国際社会から
制裁を受けるようなことは避けねばならぬ。領有権に係る摩擦は小競り合い程度に収めつつ、目立たぬよう、時間をかけて
既成事実を積み重ね、最終的には領有権を奪取する。この主役が「海上民兵」なのである。
アジア太平洋安全保障センターのモハン・マリック博士は、こういう中国の行動を「POSOW: Paramilitary Operations Short of War」
と名づけている。戦争には至らない準軍事作戦であり、米国の決定的な介入を避けながら、サラミ・スライス的に逐次成果を上げるというものだ。
サラミは、薄くスライスして、目立たぬよう少しずつ掠めていけば、そのうち、まるごと1本ものにできる。
この中国の「サラミ・スライス戦略」は今に始まったわけではない。陸ではとっくの昔から始まっている。
中印国境にあるアクサイチン高原をインドから奪取したのが典型例である。
アクサイチン高原はインドのカシミール地方にあり、スイスとほぼ同じ面積である。1954年から62年にかけ、中国人を牧草地に
逐次入植させ、中国人勢力が強くなるとインド人牧場主を追い出していった。8年間にわたり、これを繰り返していくうちに、
アクサイチン高原は中国人入植者だけになった。インドはスイスと同面積の領土を中国にもぎ取られてしまったわけだ。
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
今後、尖閣諸島にも漁民を装った「海上民兵」が登場してくることは十分予想される。漁民に偽装した武装民兵が
尖閣諸島に上陸した場合、果たして日本はこれを守ることができるのか。
仮に数十人の漁民を偽装した武装民兵が尖閣に上陸したとしよう。「漁民の不法上陸」として扱われ、海保と沖縄県警が
対応することになるだろう。だが、日本の実効支配を崩す目的の武装民兵を逮捕、拘束することはまず不可能である。
拳銃と盾だけの沖縄県警機動隊は多数の犠牲者を出し、撤退を余儀なくされる。法執行が困難となった瞬間、実効支配は消滅する。
■海上民兵を取り締まれない日本の法律
他国では、その時点で警察事態から防衛事態へと自動的に切り替わる。つまり「犯罪」から「侵略」事態へと対応が変わるわけだ。
だが、日本の場合、「計画的、組織的な武力攻撃事態」と認定されない限り、防衛事態としての対応はとることはできない。
「犯罪」でもない「侵略」でもないグレーゾーンが存在するわけだ。警察、海保が対応できず、さりとて自衛隊が自衛行動をとることもできない。
バラク・オバマ米国大統領は4月の訪日時、尖閣諸島は安保条約5条の適用対象であると述べた。第3海兵遠征軍司令官
ジョン・ウィスラー中将は「尖閣は侵攻されても容易に奪還できる」と述べた。この発言に日本は安堵したようだが、大きな誤解がある。
安保条約5条が適用され、米軍の出動が可能になるのは「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、
自国の平和及び安全を危うくするものであること」を認めることが大前提である。当事者である日本が「武力攻撃事態」を認定
しないものを、米国が勝手にそれを認めて安保条約5条が発動されることはあり得ないのだ。
武装民兵による尖閣占領のようなグレーゾーン事態に対しては、現状では日米同盟は機能しないことを我々は覚悟してお
かねばならない。これが中国が狙うターゲットとなる。
>>3へ