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★自民・維新に「中選挙区」回帰論 吉村氏の定数大幅削減が一石
2025年10月25日 5:00
5年に1回の国勢調査の最終締め切りが27日に迫る。
地域ごとの人口構成などを調べる最重要の統計調査で、社会・経済の基盤となる。
調査員を装う詐欺などで回収に苦労しており、所管する総務省は協力を呼びかけている。
速報値は2026年5月に発表する。この結果は衆院選小選挙区の区割りを再編する際の根拠となる。
区割り変更は議員の政治生命にかかわる。永田町は固唾をのんで結果を見守るだろう。
「大幅な定数削減は譲らない」。
日本維新の会は自民党との連立協議で、衆院議員定数の1割削減を求めた。
今秋の臨時国会で関連法案の成立をめざすと合意した。
自民党が法案の提出を渋ると、維新は連立離脱も辞さない姿勢をみせる。
問題は維新の吉村洋文代表が比例代表の削減を想定していることだ。
減らしやすいものを減らすという安直な発想ではないか。
自民党の選挙対策委員長を務めた森山裕前幹事長は、
都道府県別の小選挙区の数を22年に「10増10減」した調整にかかわった。
「増えるのはどうってことない。減らすのは大変なことだった」と振り返る。
小選挙区を減らせば、そこで当選していた議員は次の衆院選で出馬する選挙区を探さなくてはいけない。
選挙区という自分の「城」を死守したい気持ちが強い。
衆院定数465のうち6割超は小選挙区が占める。維新の案が通れば小選挙区の比重がいっそう増す。
比例の削減によって相対的に不利になる中小政党は猛反発している。
選挙制度は民主主義の基盤だ。
与野党の幅広い合意に基づくべきだという考えに立てば、今国会での成立は容易でない。
1つの選挙区で複数が当選する中選挙区への回帰論が浮上する。
自維の連立合意書は中選挙区制の「導入なども含め検討」と記す。
先の自民党総裁選でも言及があった。
林芳正氏が「中選挙区制の良さをもう一度見直すべきではないか」と再導入を提唱した。
中選挙区に触れた候補はもう一人いる。高市早苗首相だ。
9月のインタビューで「個人的な意見」と前置きしたうえで「私は中選挙区制論者だった」と明かした。
「(中選挙区制当時の奈良全県区で)5人通るなら、
5人のうち4人が私のことが大嫌いでも、自分が信じる政策を堂々と訴えてきた」と話した。
どこまで意識したかは不明だが、首相は林氏を選挙制度を所管する総務相に充てた。
首相が話すように中選挙区制では、特定の層から強い反発を受けても当選する道があるといわれる。
逆に小選挙区制は敵をつくれない。賛否が割れる政策を打ち出しにくい。
小選挙区制導入から30年で、政治家には率直にものを言えないストレスが充満する。
有権者にはエッジの効いた主張の新興政党にひかれる傾向がうかがえる。
中選挙区制時代の衆院選は自民党候補同士のサービス合戦で「カネのかかる選挙」といわれた。
党派閥がカネとポストで結びつく利益共同体になった歴史的な「罪」がある。
一方、同一政党からスタンスの異なる複数の候補が出馬することで、多様な民意をくみ取る「功」があった面も見逃せない。
定数削減をしたいが小選挙区も比例も難しいとなれば、国勢調査の結果を踏まえ、
合意書の中選挙区制の議論につながる可能性がある。
与野党に漂う中選挙区制へのノスタルジアと維新の要求。これらが化学反応し意図せざる帰結を生むかもしれない。
(亀真奈文)
日経新聞 URLリンク(www.nikkei.com)