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★猪苗代湖ボート３人死傷事故 ２審は無罪判決 仙台高裁
12月16日 19時26分
４年前、福島県会津若松市の猪苗代湖で沖合にいた親子など３人を操縦していた
ボートに巻き込んで死傷させたとして、業務上過失致死傷の罪に問われた元会社役員の裁判で、
２審の仙台高等裁判所は「前方左右を注視したとしても被害者たちを確実に発見できたとは
認めらず、過失を認めることはできない」として禁錮２年とした１審の判決を取り消し、
無罪を言い渡しました。
無罪判決を受けたのは、福島県いわき市の元会社役員、佐藤剛さん（４７）です。
２０２０年９月、会津若松市の猪苗代湖でボートを操縦し、
レジャーのためライフジャケットを着けて沖合に浮いていた親子など３人を巻き込んで
８歳の男の子を死亡させたほか、母親など２人に大けがをさせたとして、
業務上過失致死傷の罪に問われました。
弁護側は無罪を主張しましたが、１審の福島地方裁判所は
「湖に浮かんでいる人がいることは予測可能で、前方や左右の見張りを十分に行っていれば、
被害者を発見して衝突を回避できた」として、禁錮２年を言い渡しました。
弁護側は控訴し、２審でも改めて「見張り行為に落ち度はなかった」と主張していました。
１６日の２審の判決で仙台高等裁判所の渡邉英敬裁判長は
「衝突地点は十数メートルから数十メートル規模の幅がありえる上、遊泳禁止区域で、
人の存在を予想させる水上オートバイなどが周囲に存在することがない状況のなかで、
被害者がいることを想定するのは相当困難だった」と指摘しました。
その上で「エンジンを再始動してから事故までの時間は極めて短かく、被害者たちが船の死角に入っていた
可能性が否定できないことを踏まえると、前方左右を注視したとしても確実に発見できたとは認めらず、
過失を認めることはできない」として１審判決を取り消し、無罪を言い渡しました。
判決のあと、佐藤剛さん（４７）は弁護士を通じ、「私は当時、十分な針路の安全確認を行っていた。
控訴審判決では確かな証拠に基づいて認めてもらったものと理解している」とコメントを出しました。
また、吉野弦太弁護士は、報道陣の取材に応じ、
「客観的な証拠、科学的な根拠に基づいて控訴理由の多くを認めてもらった。
この控訴審判決は、本来であれば１審で判断されるべきものだったと考えている」と話しました。
判決について、事故で亡くなった男の子の両親は「本日の判決は到底納得できるものではありません。
生命を奪われ、一生背負う重大な傷害を負わされたのに無罪とは、この国の司法制度が
本当に機能しているのかもう一度問うため上告審での審理を強く求めます」と弁護士を通じてコメントしています。
判決を受けて、仙台高等検察庁の吉川崇次席検事は、
「判決の内容を検討の上、適切に対応したい」とコメントしています。
NHK URLﾘﾝｸ(www3.nhk.or.jp)