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★外様社長は見た!親会社オリックスから送り込まれた後発薬不足の原因企業の「壮絶パワハラ文化」
2024.11.18 5:25
●品質の問題を提起した社員に「でしゃばるな」
小林化工の“最後の社長”を務めた田中氏は今秋、武田薬品工業のOB組織「Active-T」の定期総会に登壇し、
200人以上の健康被害を出すに至った不正の本質を「企業風土にあった」と指摘した。
「上位者の指示は絶対で、下からの問題提起は許されない」「考えることをやめ、黙って従うしかなかった」―。
違法製造を生んだ小林化工の異常な企業風土は、社外の有識者で構成された特別調査委員会の調査報告書でも言及されている。
福井県の調査では、イトラコナゾール以外の薬でも、経営幹部も認識していた違反行為が新たに多数確認された。
二重帳簿を作成していたのは約390品目で、承認されていない手順で製造していたものは約180品目に上る。
一部項目については1970年代後半以降、製品試験を実施していなかったことも発覚し、
長年にわたり経営陣が違法行為を黙認していたという信じ難い経営実態が明らかになった。
問題を認識していた現場の社員が上長に相談しても、「『でしゃばるな』などと叱責を受ける状況であったため、
黙って従うことしかできなかった」(田中氏)。つまり組織全体でパワハラが常態化していたのである。
●「これからはちゃんと薬を作れる」 不正に関わった社員が漏らした本音
この企業風土は、かつて在籍していた古参の大番頭が社員に授けた
“薫陶”のたまもので、退職後も彼の影響力は連綿と続いていたという。
長年をかけて醸成された空気感の下、共同開発企業との関係による期日厳守の圧力や、
国の後発薬の使用促進に対応するための無理な増産体制が状況を悪化させ、
違法製造以外に、試験結果の捏造などにも手を染めることになった。
後発薬の需要が伸びる中で業績はうなぎ上り、従業員の給料は高かった。
一方で、生命関連産業に携わる者としての矜持と自身の生活を守ることとの板挟みで、製造現場は徐々に追い詰められていく。
田中氏は社長就任の直前に、中堅幹部22人と面談した。
そこで聞いたのが、不正に関わっていた製造現場の社員の「これからはちゃんと薬を作っていいのですね」という言葉。
「生産を中止するのか、それとも首になってこの会社を終わらせるのか。
この状況で、実は皆苦しみ悶えながら、製造や研究開発の方々は仕事をしていた」と当時の従業員の心境を代弁した。
500人の社員と直接面談を重ねるなど、さまざまな取り組みを経て
会社再建を目指した田中氏だったが、やはり「問題が多過ぎた」と吐露。
700人いた社員は、再生までの道筋が見えず1カ月に20人が辞めていった。
このまま踏ん張っても、間違いなく会社自体が崩壊すると判断。
最終的に自主再建を諦め、サワイグループホールディングスへ譲渡した。
再建を目指した日々を振り返り、改めて田中氏が実感したのは「心理的安全性」の重要性だった。
強圧的な人が抑え付けるような状況ではなく、心理的に認められて改善や前向きなことをする
空気感を経営者は自ら醸成しなければいけない。
「自然にミスや問題が表に出て、問題が改善されていくような場づくりが、
不正を防止するのに非常に必要だと今は思っている」(田中氏)。
200人以上の健康被害を出した未曽有の医薬品品質不正は、上意下達による企業ガバナンスの欠陥を浮き彫りにした。
米ハーバード・ビジネス・スクールの教授が提唱した心理的安全性は、
ここ数年組織マネジメントのモデルとして話題だが、国民の命と健康を支える医薬品企業にこそ必要な概念なのかもしれない。
ダイヤモンドオンライン 抜粋 URLリンク(diamond.jp)