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★トランプ新大統領は「就任前から負けている」米国をまもなく襲う悲劇…物価・雇用・住宅すべて投げ出し「劇場型政治」で暴走へ
2024.11.13 by 冷泉彰彦『冷泉彰彦のプリンストン通信』
米大統領選は“歴史的大接戦”の前評判をよそに、蓋を開けてみればトランプ氏の圧勝で終わった。
アメリカの有権者は何に怒り、何を期待してトランプ候補に一票を投じたのだろうか。
物価・雇用・住宅の3点から詳細に分析すると、意外な事実が見えてきた。
実はハリス候補の敗因となったこれらの問題はトランプ氏にも到底解決は不可能なのだ。
いわばトランプ新大統領は「戦う前から負けている」状況と言える。
米国在住作家の冷泉彰彦氏が詳しく解説する。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:トランプの勝因はそのまま弱点に
●大方の予想を裏切り「早期決着」となった理由
それにしても、選挙全体が極めてスムーズに進行したこと、そして早期に結果が出たというのは意外でした。
何よりも、今回の大統領選は、決戦州を中心に両陣営が拮抗していると伝えられていたからです。
直前に共和党系の選挙アナリストであるカール・ローブ氏が指摘していたように、
異常なまでの拮抗状態があり、それが長く続いていた点が珍しかった、そのように見られていたのは事実です。
ですから、相当に時間がかかるという見立てを多くのメディアは言っていました。
例えば4年前の2020年の場合は、当確が出たのは投票日の4日後の土曜日でした。
また、大昔になりますが、2000年の大統領選でブッシュとゴアが争った際には、
フロリダを巡る戦いは12月に最高裁が判断するまで時間がかかったわけです。
ですから、最低でも数日はかかると予想されていたのです。
にもかかわらず、結果的には当日の深夜から早朝で決着がついたわけで、これはサプライズでした。
これはやはり、各州の選管が頑張ったことが大きいと思います。
例えばジョージア州では州法を改正して、期日前投票の集計を投票日前から実施して、
即日開票にすぐに含めるようにした、これは効きました。
一方で、最も激戦が予想されたペンシルベニアでは、この種の法改正に失敗しており、
期日前の投票の集計は投票日にならないとできないという法律に縛られていたのでした。
ですが、選管は当日の朝7時から巨大なマシンを使って集計を開始して、即日開票に間に合わせました。
当日深夜に当確が打てたのには、このペンシルベニアの選管の努力もあったのだと思います。
もう一つは、特に前回の2020年の選挙では、共和党サイドは郵送や期日前の投票に極めて懐疑的で、
トランプは全部インチキだなどと言っていたわけです。ですが、今回は積極的に活用を推進したのでした。
素直になったというよりも、とにかく積極的に集票できるツールだと判断したのだと思いますが、
これが彼らに有利に働いただけでなく、当日の投票と併せて集計作業全体を前倒しすることで混乱を避けることに寄与したのでした。
●共和党にとって画期的だったトランプの圧勝劇
以上はもちろんなのですが、とにかく意外な大差になったこと、何よりもこれが早期当確に至った主因でした。
勿論、ほぼ集計の終わった現時点では、トランプ候補は決戦州で全勝しており大差での勝利となっています。
ですが、それ以前の問題として、各州における差もかなり広がっていました。
決戦州の場合も、ペンシルベニア+1.9%、ミシガン+1.4%、ネバダ+3.1%、アリゾナ+5.7%、
ジョージア+2.2%、ノースカロライナ+3.3%、という具合で、非常な大差になったと言えます。
競っていたということではウィスコンシンが+0.8%でしたが、それでも2万9千票差ありました。
(続く)
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