24/11/14 09:07:51.33
>>1の続き
もっと顕著なのが、全国における総合計(ポピュラー・ボート=PV)です。
2024年:全体の投票率=65%(暫定値)
トランプ 7千480万票(50.4%)
ハリス 7千120万票(48.0%)
2020年:全体の投票率=66.6%
バイデン 8千120万票(51.3%)
トランプ 7千420万票(46.8%)
2016年:全体の投票率=60.1%
クリントン6千580万票(48.2%)
トランプ 6千300万票(46.1%)
民主党は2020年と比較して、大きく票を減らしました。
一説によれば、2020年の場合にはコロナ禍の中で郵送投票が大きく推奨されて、
通常は棄権に回る層まで票になったという解説があります。
その真偽はともかく、共和党の場合は、21世紀に入ってのブッシュの2回、一期目のトランプが勝った際には、
PVでは負けていたのですから、今回のPV圧勝は画期的とも言えます。
●トランプ勝利の原因は経済、何よりも物価
何よりも、内政、とりわけ経済の問題が大きく勝敗を分けたと言えます。この点については、
1992年の選挙で、ビル・クリントンが「冷戦勝利より経済が大事」と主張して勝ったケースに酷似しています。
また、2008年の選挙におけるオバマの勝利も同様で、「反テロ戦争よりリーマン後の経済」を懸念する票を集めて勝ったとも言えるでしょう。
今回の場合は、物価、雇用、住宅の3点セットだと思います。
これが大きな国民の関心事というよりも、困窮の原因となっているわけですが、この点をハリス候補は訴えることができませんでした。
トランプ陣営にも具体的な対策があるわけではないのですが、とにかく現政権批判をすれば、
ハリス氏は現職の副大統領ですから簡単に批判できてしまうわけです。
そんな選挙戦では、民主党に勝ち目はなかったのだと言えます。
とにかく物価高への怨念が全国に渦巻いていたこと、
この点を政権がしっかり認識して国民に説明することができなかった、これが一番の敗因だと思います。
今回のアメリカの物価高は、非常にタチが悪い現象です。とにかく多くの要因が複合しているからです。
まず、ウクライナ戦争を契機として原油価格が高止まりして、エネルギーのコストが上昇しました。
その結果として、国土の広いアメリカの場合は運送費の高騰がダイレクトに価格に転嫁されています。
特に、重くて安い商品ほどこの影響は大きく、ミネラルウォーターや炭酸飲料などはコロナ禍前の倍となっています。
また、スーパーの価格の中では、特に卵の値段が突出しています。
コロナ禍前は、1ダース1ドル99とか、場合によっては1ドル前後だったのですが、現在は4ドルが最低で、
NYの市内では8ドルとか10ドルになっています。これは輸送費の高騰に加えて、鳥インフルの問題があるのですが、
バイデン政権は問題の所在も言わないし、解決に動く気配もありませんでした。
アメリカ人は、特に朝食に卵料理を好むわけで、自宅でもダイナーなどの外食でも卵の高騰は顕著であり、
これが静かな怒りとなっていたのですが、政権はこれに気づいていなかったのです。
この点では、トランプの側も卵高騰への怨念を利用することはありませんでした。
物価の痛みを庶民感覚で理解するわけではなく、ただ、現職批判を繰り返せば票が自動的に入ってくるのですから、
結果から見れば楽な選挙だったとも言えます。
物価高の要因ですが、更に人件費の高騰が値段に転嫁されていっています。
輸送費にはトラック運転手の給与アップが、通販商品には配送コストのアップが上乗せされています。
つまり、全国で最低賃金が上昇したことがダイレクトに価格に影響しているわけです。特に顕著なのは外食です。
ファストフードも高くなっており、ランチを外で食べるとすぐに20ドルを超えてしまいます。
まともなレストランのディナーだと、一人50ドルというのが最低かもしれません。
こうした状態は恒常化していますが、では全国的に「慣れてしまった」のかというと、全くそういうことはなく、
スーパーのレジで、また外食の精算の際に、ほとんどのアメリカ人が静かに怒りをためていたのです。
続く