24/11/09 14:36:06.13
★「壊滅的」 支持基盤侵食された米民主党、敗北の“根源的”原因
5日投開票の米大統領選は、共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領を破って当選を確実にした。
両党の勝敗を分けたものは何だったのか。また今後の戦略はどのようなものか。
「壊滅的な敗北だ」。敗れた民主党のハリス副大統領の陣営幹部は6日、こう嘆いた。
今回は激戦州で競り負けただけでなく、民主党優位の州でも共和党のトランプ前大統領が軒並み得票を伸ばし、
総得票数でもハリス氏を上回りそうだ。労働者層だけでなく、従来支持基盤であるヒスパニック(中南米系)や
黒人の間でもトランプ氏に票が流れており、民主党は抜本的な立て直しが急務だ。
民主党内では「敗因」探しが始まっている。米メディアによると、とりわけ批判の矛先となっているのはバイデン大統領だ。
就任時に史上最高齢の78歳だったバイデン氏は若い世代への「つなぎ役」だとして1期限りとの見方があった。
だが2022年の中間選挙で民主党が善戦して求心力が高まった。
バイデン氏も再選に意欲を示し、6月下旬のトランプ氏とのテレビ討論会で高齢への懸念が再燃した後も立て直しを模索。
結局、党内の撤退圧力に押される形で出馬を断念したのは約3週間後だった。
バイデン氏の撤退は当初、党内から「国や党を優先し、自分を犠牲にした英断」などと称賛された。
だが現在はバイデン氏がなかなか撤退しなかったことでハリス氏の選挙戦の時間が限られたことや、
バイデン氏の「不人気」ぶりがハリス氏の足を引っ張ったとの批判の声が上がる。
他の敗因としては、ハリス氏の陣営が、失態を恐れてメディアのインタビューを一定期間避けた
▽物価高騰などで批判を浴びる現政権とハリス氏との違いを打ち出せなかった
▽副大統領の候補を最重要州であるペンシルベニア州のシャピロ知事にせず、
ハリス氏が気に入ったウォルズ・ミネソタ州知事にした―ことなどが挙がっている。
だが、民主党の敗北にはより「根源的」な原因があるとする見方もある。
●米大統領選 人種や性別、学歴別の投票先
米紙ワシントン・ポストによると、オバマ元大統領の選対幹部を務めたアクセルロッド氏は
「民主党は都会的で、大学卒の人が多い政党になってしまった」と語った。
「民主党は労働者層に寄り添う姿勢は示しているものの、時に(上から目線の)布教者のような精神で彼らに近づく。
意図していないにしても、それには軽蔑が含まれているように感じられる。そして、トランプ氏はそこを突いたのだと思う」
今回の大統領選では、東部のニュージャージー、ニューヨーク両州、西部カリフォルニア州といった
民主党の「牙城」でもトランプ氏が勝ちはしないものの得票を伸ばした。
例えば、ニュージャージー州での得票率で見ると、前回選ではバイデン氏とトランプ氏との差は
約16ポイントだったが、今回は約5ポイント差に縮まった。
また従来支持基盤の少数派が民主党から離れる傾向も顕著になっている。
米NBCニュースの出口調査によると、前回選では男性の6割、女性の7割がバイデン氏の支持に回ったとされる
ヒスパニックでは、今回ハリス氏を支持したのは男性の4割、女性の6割にとどまる。
ヒスパニックの保守系啓発団体のエディー・ディアスさんは「ヒスパニック社会は多様化が進んでいる。
民主党の固定支持層ではなくなり、経済状況などで支持先を変える無党派層が増えている」と指摘する。
また黒人男性やアジア系の間でも、前回選と比べてトランプ氏に票が流れた。
かつてはおおまかに、リベラルな主張の民主党は労働者や少数派、保守的な訴えの共和党は富裕層がそれぞれ支持層だった。
だが近年は、トランプ氏が人々の不満をすくい上げる形で、「ラストベルト」(さびついた工業地帯)を中心に労働者層に浸透している。
さらに今回の選挙でトランプ氏は少数派の間でも支持を伸ばした。
民主党は支持基盤が揺らぐ中、今回の選挙を適切に総括し、立て直しにつなげられるかが問われている。【ワシントン松井聡】
毎日新聞 2024/11/7 19:57(最終更新 11/7 21:11) URLリンク(mainichi.jp)