24/11/01 16:48:35.16
★ 13年ぶり再稼働の女川原発、未経験の運転員4割で異変察知に課題…訓練は年間60日に倍増
13年7か月ぶりに再稼働する女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)は、
東日本大震災で全3基が停止し、この間、原発の運転経験者は6割まで減った。
技術の継承や人材育成が課題とされ、東北電力は「安全で安定した運転を継続しなければならない」と気を引き締める。
重大事故を想定した訓練に力を入れ、ベテランが若手を支える体制も整えてきた。(東北総局 奥田樹、林航平)
東北電によると、4月時点で運転員140人中、51人(36・4%)は原発を動かした経験がない。
技術や安全意識を向上させるため、再稼働する2号機の中央制御室を模したシミュレーター訓練施設で、
原子炉の起動や停止、すべての電源が喪失した「シビアアクシデント」(過酷事故)などを想定した訓練に取り組んでいる。
運転員は臨機応変に動く必要がある。
2011年の福島第一原発事故を教訓に策定された新規制基準に基づき対策も強化した。
重大事故時に放射性物質の漏えいを抑えながら原子炉格納容器内の圧力を下げるフィルター付きベント(排気)装置をはじめ、
9階ビルの高さに相当する海抜29メートル、延長800メートルの防潮堤などを設けた。
訓練時間は新設備への対応が増えたこともあり、年間60日程度に倍増させた。
ただ、シミュレーターや机上の訓練では養えないこともある。
実際の現場で、タービンの回転で発生する熱や振動、臭いなどから異変や異常を察知する力だ。
2号機を含め、30年超にわたって運転員を務めた原子力部原子力人財育成専門役の岩渕真二さん(63)は
「日頃の運転状態を体感することが重要だ」と話す。
米国の原発や、構造的に似ている仙台火力発電所(宮城県七ヶ浜町)での研修も重ねてきた。
2号機は24時間3交代制で監視している。
運転員は発電課長以下8人で班を構成し、経験豊富なベテランが務めるSTA(シフトテクニカルアドバイザー)が
各班に1人ずつ付き、職場内訓練を通して継続的に助言や指導をする。
震災後に入社した若手からは「原子炉を起動するまでに、十分な技術レベルに達するのか」と懸念の声もあった。
それでも課題解決に向けて地道に訓練を積んできたとして、原子力部で人材育成を担う清水敬輔課長(51)は
「適切な不安は、責任の重さや安全意識の裏返しとも言える。磨いてきた技術を安定した運転に結びつけてほしい」と語る。
読売新聞オンライン URLリンク(www.yomiuri.co.jp)