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★「都合悪い話消していくんだ」 旧統一教会元信者の女性が見る衆院選
高木文子2024年10月19日 15時00分
27日に投開票がある衆院選では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係も問われている。
この問題が「埋もれてしまい、『なかったこと』のようになっていないか」。
長野市の元信者の女性(55)は、選挙期間中の論戦に耳を澄ませている。
「こんなに政治とつながっていたのか」。2年前に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件。
それをきっかけに、多くの自民党の政治家が教団側から支援を受けていたことが明らかになった時、
女性はそう思ったという。
●大学時代に入信、仕送りの通帳も手渡した
福島県出身で、大学進学のために19歳で上京した。
旧統一教会と関わったのは、都内の駅前で若い女性2人に「アンケート」だと呼び止められたのがきっかけだった。
最初は宗教の勧誘と気づかず、日帰りや1泊2日の「合宿」を経て、翌年の初めに入信した。
アパートを引き払って、木造2階建ての教団の「寮」へ引っ越した。
学生や20代くらいの男女20人ほどが暮らしていて、「寮母」の女性が取り仕切っていた。
2階の祈祷(きとう)室に「おとうさま、おかあさま」と呼ぶ教団創始者の
文鮮明(ムンソンミョン)氏と、韓鶴子(ハンハクチャ)氏の写真が飾られていた。
女性は寮から大学に通い、放課後は駅前で若者らを勧誘した。休日は知らない土地で飛びこみの訪問販売もした。
「神様の物を買うことで(購入者の)罪を軽くすることができる」と信じ、扇子やはしを売ろうとした。
訪問販売では怒鳴られて追い出されることがほとんどだった。疲れ切り、寮に戻って祈祷をしながら眠り込んだ。
「神様に仕えなくちゃいけないと思うんだけれど、自我が『もう無理』と言っていた」。
入寮から数カ月、女性は夕食の買い物に向かった際、財布から小銭を抜き、同行した仲間を残して駅へ走った。
公衆電話で助けを求め、福島の家族がすぐに迎えにきてくれた。
●大学を中退、後悔は消えず
故郷に戻った当初は「(教団での生活に)我慢できない自分がいけなかった」という罪悪感にさいなまれた。
教団側から実家に電話やはがきも届いた。
上京して説得されれば寮に戻ってしまいそうで、翌年の春に大学を退学し、就職した。
結婚して3人の子どもに恵まれたが、大学を中退した後悔や、両親への申し訳なさは消えなかった。
数年前、家族とともに長野市へ転居した。
安倍元首相の銃撃事件後、女性は安倍氏が教団側へ送ったビデオメッセージを目にした。悔しかった。
「お金を搾り取られて苦しんでいる人を助けるべき立場の政府が、教団とつながっていた」
自民党は調査(点検)の結果、所属国会議員の約半数が教団側と接点があったと公表した。
女性は「接点を認めたことは一歩。認めなければ決別に至らない」とみる。
ただ、「組織的な関係はない」とする党の説明には、とても納得できない。
9月の自民党総裁選にはがっかりした。
候補者たちは旧統一教会の問題を「なかったこと」のように語らなかった、と感じた。
「都合の悪い話は消していくんだな、と思った」。党として教団と接点を持っていなかったのか。
教団信者の親を持つ「宗教2世」の問題にどう向き合うのか―。
衆院選の候補者たちに、語ってほしいと願う。(高木文子)
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