15/01/23 16:15:32.75
>>2の続き
だから、庶民の消費を象徴するスーパーの売上高は、アベノミクス後も一向に増えていない一方で、
高級品を扱う百貨店の消費は堅調に増加していますし、輸出企業を中心に、利益が史上最高益を更新するまでになっているわけです。
私の見解では、消費税の増税がなかったとしても、アベノミクスはすでに失敗しているわけですが、
リフレ派の識者たちはそれでも「アベノミクスが失速したのは、消費税増税が原因である。GDPを見れば明らかである」と言い張るのかもしれません。
そこで、安倍政権が2014年4月の消費税増税を行わないと決定して、国民にあらかじめ周知していたと仮定してみましょう。
そうであるならば、駆け込み消費が発生するわけがなかったので、1~3月期のGDPが6.0%もプラスになることはなかったし、
その反動として4~6月期が7.1%ものマイナスになることもなかったでしょう。
現実としては、実質賃金が下がり続けているなかでは、消費税増税に伴う駆け込み消費がなかったとしたら、
1~3月期はプラスどころか、マイナスになっていた可能性すらあるのではないでしょうか。
地方に暮らす人々や中小企業に勤める人々は、この時期にはすでに、物価高によって生活が苦しくなっていることを実感していたからです。
私は地方に仕事にいくたびに、その地方の景況感をいろいろな立場の方々にお伺いしているのですが、
すでに2013年後半には、大企業に勤める人々は「景気は少しずつ良くなっている」と喜んでいるのに対して、
その他の多くの人々は「ぜんぜん景気は良くなっていない」とあきらめてしまっていたのです。
アベノミクスの失速を消費税増税にあると主張している人々は、そもそもとして、2013年、あるいは2013年度の1年間のGDPは、
安倍政権が消費税増税を行う経済環境を整えるためにつくられた数字であるということを無視してしまっています。
安倍政権は国民から増税に対する批判を受けないように、公共投資を大幅に増額したのですし、
政権発足後の最初の2年間で、合計18兆円以上もの大型の補正予算を編成したのです。
もし、安倍政権が初めから消費税増税を行わないという決定をしていたのであれば、
公共投資の大幅な増額はしなかったし、大型の補正予算を行う強い動機も持たなかったと考えるのが自然なのではないでしょうか。
そのように考えると、たとえ当初から消費税増税を行わないと決めていたとしても、
円安に伴う実質賃金の下落によって、2014年からの景気低迷は避けられなかったと考えることができるわけです。
続く