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つづき
p2
さて、式(4) の第二項は必ず8π2 の整数倍になることが知られています。その整数を kとしましょう。
S[A] = 8π2k となります。k は物理ではインスタントン数、数学では第二チャーン数と呼ばれる量です。
以上のような考察から、この方程式(6)の解を調べると、ヤン=ミルズ理論を理解する手がかりになるのではないかと考えられました。
1970年代のことです。解のことをインスタントンと呼びます
3 インスタントンの構成
上記 Aは空間的にも時間的にもx0 のあたりに局在している励起をあらわし、これがインスタントンの名前の元になっています。
Instant (瞬間) +-on (粒子)というわけです。
k-インスタントン解は、あたかも 1-インスタントンが k個あるように振る舞います。
しかし、方程式は非線形ですから、安直に足すことによって解をふたつ重ね合わせることは出来ません。
非線形なのに解が重ね合わせられるかのように振る舞う、これはソリトン理論との関係を示唆します。
全てのパラメタを持った k-インスタントン解を作ろうと沢山の物理学者が頑張りましたが、決着をつけたのは四人の数学者、アティヤー、ドリンフェルド、ヒッチンとマニンによる論文でした。
彼らはツイスター理論を駆使し解を構成しました。
まず、k×N 行列と N×N 行列を4つずつ用意します。
合計 4(k+N)N 個のパラメタの間に、3N2個の条件を課し、さらに N2 方向を割ることによって、4kN 次元のパラメタの空間を得ました。
ベクトルポテンシャル Aはこれらの行列から具体的に
構成することが出来ます。解の持つパラメタのことを数学ではモジュライと呼びます。
よって、この4kN 次元のパラメタ空間 MN,k(R4)は、インスタントンのモジュライ空間と呼ばれます。
行列のなす線形空間は簡単なものですが、条件を課して割ることによって、MN,k(R4) は非常に複雑な、しかし興味深い空間になります。
(引用終り)
以上