24/06/27 16:53:42.40 U2cb4PmI.net
追加
(参考)
URLリンク(gendai.media)
講談社 2022.09.19
「ポアンカレ予想」はまだ解けていない!?
数学未解決問題の本質
小笠 英志 数学者
ポアンカレは数学史上に名を残す有名数学者です。ポアンカレの遺した「ポアンカレ予想」は、数学において非常に重要なものです。ミレニアム問題として知られたこの問題が解決された! というニュースを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
でも、この「ポアンカレ予想」が未解決だといったら驚くでしょうか。
この興味深い話を『多様体とは何か』の著者・小笠英志さんが解説します。
略す
7. 明日の大数学者に
冒頭にもあるように、TVや雑誌で「ポアンカレ予想が解けた!」と話題になったので、数学や物理の好きな初心者の方には、「ポアンカレ予想」は“全て”解けてしまったと思っている人も中にはいるかもしれません。
実は、あれは、「3次元ポアンカレ予想が解けた」という話なのです。
ポアンカレが最初に提出したものだったこと、高次元の(全てでは無いが、かなり)多くが3次元より先に解けていたこと、クレイ研究所のミレニアム問題のひとつだったこと、解決したペレルマンがフィールズ賞もクレイ研究所の賞金も受け取らなかったこと、などが原因で話題になりました。
しかし、実は、4次元微分ポアンカレ予想、4次元PLポアンカレ予想はまだ解けていません(この2問、YESかNOか、答が“同じ”になることは知られています)。これを解けばフィールズ賞受賞は間違いなしでしょう。
注: あれ? フリードマンは4次元ポアンカレ予想を解いたのではなかったか? と思われた方へ。フリードマンは「4次元位相ポアンカレ予想」を解きました。しかし、「4次元PL」と「4次元微分」はやっていません。でも、4次元位相“だけ”でも、フィールズ賞レベルの偉大な業績なのです。
このことからも4次元微分ポアンカレ予想が如何に難問かがわかるでしょう。
また、高次元微分ポアンカレ予想もかなりの部分が解けたのですが、まだ少し解けていません。これも解けば永遠に歴史に名を残せます。腕に覚えの有る方は、ぜひ挑んでください。
注:高次元ポアンカレ予想は全て解かれたのではなかったか? と思われた方へ。全ての次元の「位相ポアンカレ」、4次元以外の全ての次元の「PLポアンカレ」は「YES」と解かれていますが、実は、上記のものは未解決なのです。
表にまとめると以下です。
(要するにn=4 PL:未解決、微分:未解決、n≧5 微分 未解決あり(Noの次元とYesの次元あり))
拙著『多様体とは何か』には、本稿より詳しい解説と、アタック開始に必要な参考文献が載っています。
筆者は、この分野の近くで研究をしている者として、次のことを危惧しています。
『ポアンカレ予想が解けた! というフレーズが一人歩きする。「4次元微分ポアンカレ予想」、および「高次元微分ポアンカレ予想の一部」という重要な問題が未解決だということへの注目度が下がる。』ということです。