23/12/15 14:38:59.03 NkEr3tnM.net
つづき
ツェルメロの公理的集合論
ラッセルは「型」の概念を導入して「文法的」にパラドックスを避けたが、パラドックスを避けるもう一つの方法として「集合のサイズを抑制する」という方法がある。
つまり、集合すべての集合とか、要素が一つだけの集合のすべての集合、のような巨大な集合をさけるという方法である。
ラッセル・パラドックスのもととなったカントル・パラドックスが、「最大の大きさを持つはずの集合」のパラドックスであったことを考えれば、非常に大きな集合を避ければ、ラッセル・パラドックスのようなものは避けることができそうである。
この方向性を追求したのが、ラッセル・パラドックスを、ラッセル以前に発見していた数学者エルンスト・ツェルメロである。
ラッセルのパラドックスを生んだ {x | x∈x でない}のような巨大な集合の存在を認めないかわりに、実際の数学で使われる集合を割り出して、それらは存在することにする、つまり、それらの存在を公理とする、というのがツェルメロの戦略だった。
これは、極めて実用主義的、機能主義的アプローチであり、別の言い方をすれば、ご都合主義的でもある。
ZFC集合論のような、使える公理を明確に規定して、それのみを使って理論を展開する集合論を公理的集合論という。
つまり、現在の数学の基礎は、公理的集合論が担っているのである。
つづく