23/12/22 21:29:39.81 LIcp6+zp.net
有名な”とね日記”を、アップしておきます
URLリンク(blog.goo.ne.jp)
とね日記 岡潔/多変数関数論の建設 大沢健夫 2018
内容紹介 岡潔は1936年から1953年にかけての9本の論文で多変数関数論の主要な問題を解決して、この分野の基礎を築きましたが、始めから明確な研究目標があったわけではなく、当時の解析学の大要を書いたグルサの本で多変数関数論の章を読んだときの印象を「霧ながら大きな町に出りけり」であったと回想しています。その地点から多変数関数論の建設を行うには、荒れ地の岩を穿つような腕力を要したことが想像されます
著者について:
大沢健夫 1951年富山県で生まれる。1978年京都大学理学研究科博士課程前期修了。1981年理学博士。1978年より1991年まで京都大学数理解析研究所助手、講師、助教授をへて1991年より1996年まで名古屋大学理学部教授。1996年からは名古屋大学多元数理科学研究科教授。専門分野は多変数複素解析
「あとがき」
本書を手に取られた方の多くがおそらくご存知のように、「数学者岡潔」については既にすぐれた著作があり、それらのどれに増してオリジナルの「春宵十話」や「人間の建設」が岡先生の人物像を如実に伝えています。しかしながら、高校卒業程度の数学の素養を持つ読者のために「岡潔の数学」を主題として語った本はまだないということで、多変数関数論を専攻する筆者に白羽の矢が立ったというわけでした
それなら僕でも読めると思い購入。すらすらと楽しく読み始めた。章立ては次のとおりである
第1章 岡理論の遠景
第2章 岡の連接性定理
第3章 上空移行の原理
第4章 岡の原理とその展開
第5章 難問解決は突然に
第6章 イデアルの絆
第7章 峠の先の歩み
第1章の終わりまでで1変数の複素関数論の解説が終わる。理工系の学部で学ぶ教科書1冊の範囲が終わるのが35ページ目なのだ。復習としてちょうどよかった
第7章「峠の先の歩み」では奈良女子大学に教授の職を得た1949年以降のことが紹介される。岡潔は1960年に文化勲章を受賞し、1978年に没するのだが、その間、1955年にセールとヴェイユが、1961年にヴェイユとグラウエルトが、1963年にカルタンが岡を訪問している。この期間に岡の理論は数学のさまざまな分野に浸透していった。その中でも代数幾何学、偏微分方程式論、微分幾何学、特異点論、解析的整数論は多変数関数論と接点を持ったおかげで大きく進展した分野だ。現代数学を学ぶ上で多変数関数の基礎知識が必要とされるようになっている
岡が渡った岸の先には何本もの道が開けているのが現代数学の風景だ。例えば不定域イデアルの理論はカルタンやセール、グロータンディークにより代数的理論へと姿を変え、さらに抽象化して導来圏の理論など代数学を先導している。また、レビ問題は1960年代にはL^2評価式の方法が多変数関数論に持ち込まれ、岡やグラウエルトの理論が精密化された。レビ問題の解からは1980年代に「L^2拡張定理」が派生している。また第7章では岡の研究に影響を与えた「ベルグマン核」のほか、2003年の「ヘルマンダーの定理」、「ヴェイユの積分公式」とその後に導かれた定理、岡の第7論文を参考に得れらたスコダによる「L^2割算定理」、著者の大沢先生が示した「L^2拡張定理」が紹介されている(参考:「多変数関数論の発展の歴史」)