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かつて天皇の名の下に戦争に駆り出された多くの兵士たちが、負傷し、あるいは精神に障害を負って帰還した。いわゆる「傷痍軍人」たちである。
日本がGNP世界第二位の華々しい経済成長をとげつつあった1970年代初頭、その繁栄の裏側で、多くの皇軍兵士たちは巷に放り出されたまま、誰からも顧みられることはなかった。
私が最初に彼らを取材したのは1970年から71年にかけての二年間だった。その頃、全国で約13万人の傷痍軍人がいた。……それが2005年には、5万1692人へと激減した。
「大東亜戦争」は明治以来続いた大日本帝国の歴史の総決算であり、敗戦による価値観の転倒は、かつての忠勇な「皇軍兵士」たちから経済的生活手段を奪ったばかりか、生きてきた意味や誇りすら奪い去ったのである。(「はじめに」より)