23/06/11 16:22:50.42 5t3/bu9Q.net
>>523
つづき
不完全性定理によるヒルベルト・プログラムの発展
「無矛盾性」、「ヒルベルト・プログラム」、および「数学基礎論」も参照
フランセーンによれば、数学者ダヴィット・ヒルベルトは「数学に“イグノラビムス(ignorabimus, 永遠に知られないこと)”はない」と述べた[17]。数学上に不可知は無く、全ての問題は最終的に解決されるというヒルベルトのこの見方は、「ノン・イグノラビムス」として知られている[18]。ゲーデルの不完全性定理は、「決してこのヒルベルトの楽天的な見方を否定するものではない」とされている[18]。何故なら、不完全性定理によって否定されたものとは単に、「ノン・イグノラビムス」へ到達する手段の一つとしてヒルベルトが提案したもの ― すなわち、「すべての数学の問題が解けるような単一の形式体系」 ― であり、「ノン・イグノラビムス」自体は否定されていないからである[19]。
実際ゲーデル自身は以下のような、「ノン・イグノラビムス」的なヒルベルト流の見解を持っていた[20]。
こうした見解に基づき、ゲーデルは現代数学を拡張する手段として「巨大基数公理」を提案した[21]。哲学等において「不完全性定理がヒルベルトのプログラムを破壊した」という類の発言がよくあるが、これは実際の不完全性定理やゲーデルの見解とは異なる[11]。正確に言えば、ヒルベルトの目的(数学の「無矛盾性証明」)を実現するには手段(ヒルベルト・プログラム)を拡張する必要がある、ということをゲーデルが不完全性定理を通して示したのだった[11]。
つづく