23/05/10 14:32:35.54 WSKOFCPT.net
>>27
つづき
上巻では1章で数学活動および着眼点の知覚的スケッチを,2章で基礎として集合概念からの典型的な議論で始まり,論理,基本的な代数構造,公理的集合論,圏の基本,前層,力学系といった名所を巡っていく.これらの基礎の基礎の部分は後のやや複雑な分野の議論の前提となっているが,それらだけで完結していて後の議論にあまり影響しない話もある.
上巻はさらに3章で関係について,4章で空間の話題につなげていて,上巻最後の空間の話は下巻の始まりのやや高級な空間の話題の基礎となる.
下巻は,上巻から続く空間の話を5章・6章で更に膨らませている.空間と関係の相互のやり取りがこの本でも多くを占めていて,現代数学が空間(すなわち幾何学)の形式化にいかに注目しているかということを強調している.
7章は構造と題されているが,構造(数学的構造)という概念(そしてその視点)を提示して,その後の8章からの議論をわかりやすくするための前置きのような短い章である.
8章から圏,9章ではトポスの話題となり,代数的論理における直観主義論理のすでによく知られていた結果へのトポス(基本トポス)の応用という古典的結果についてバイアスなく語っている.
10章は申し訳程度の用語の定義のようなものを書いている.
全体として,易しい議論と複雑な議論が入り混じっていて,スラスラ読めるところもあればそうでないところもある.これは読み手の得意とする分野がそれぞれ異なるだろうから仕方のないことであるが,
それまでの数学経験においてあまり関ってこなかった話題とよく見知った話題との関連性に触れるのは良い刺激になるに違いない.
URLリンク(www.maruzen-publishing.co.jp)
丸善 現代数学シリーズ24冊
(引用終り)
以上