23/05/06 14:08:33.34 Q27p2044.net
>>792 >>825
無教養なもので、初見なので青空文庫でお茶濁す
おぎつねは、四次元をしっている
老いたきつねは、無限大を知っている
野狐(やこ)は、有限から抜け出すことを知っている
(参考)
URLリンク(www.aozora.gr.jp)
狐 青空文庫
蔵原伸二郎
おぎつね
雄狐はゆつくり木からおりた
そして 月光いろの雌狐が待つている
四次元の寂寥の中へ消えていつた
老いたきつね
狐は光になる 影になる そして
何万年も前からそこに在つたような
一つの石になるつもりなのだ
夢はしだいにふくらんでしまつて
無限大にひろがつてしまつて
宇宙そのものになつた
すなわち
狐はもうどこにも存在しないのだ
野狐(やこ)
旅人はつぶやいた
「生きながら有限から抜け出そうなんて、
それはとうてい不可能なことだ」
すると、旅人の頭の中の
一匹の狐が答えた
「それはあなたが消滅して私になれば、
わけもないことです」
そこで旅人は狐になつた
今はただ
一匹のやせ狐が
どこへゆくかもわからない
黄昏の村道を歩いている
底本:「近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎」新学社
2005(平成17)年10月12日第1刷発行
初出:おぎつね「陽炎」
1957(昭和32)年3月号
きつね「詩学」
1955(昭和30)年10月号
老いたきつね「花粉 第五号」
1958(昭和33)年5月